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子どもを自殺させると話題の「Momoチャレンジ」はデマだと判明、なぜこれほど拡散したのか?


ここ数日の間に、TwitterをはじめとするSNS上で「Momo」という謎の存在が「子どもたちを自殺するように仕向けている」として話題になりました。しかし、実のところ「Momoチャレンジ」とも呼ばれるこのウワサはデマだったと判明しており、多くの人々が衝撃的なデマにだまされてしまったと報じられています。

How Much of a Threat Is the Purported 'Momo Challenge' Suicide Game?
https://www.snopes.com/news/2019/02/26/momo-challenge-suicide-game/

The Momo Challenge Is Not Real - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/technology/archive/2019/02/momo-challenge-hoax/583825/

2019年2月末にあるTwitterユーザーが、「気を付けて!『Momo』という存在が子どもに自殺するように指示しています」という内容をFacebookのスクリーンショットと共にツイートしたところ、すぐさま2万回を超えるリツイートを獲得しました。この話題はローカルニュースでも報じられ、Instagramのインフルエンサーが広めるなどして多くの人々を怖がらせたとのこと。

すでにこのツイートは削除されていますが、Momoだとして拡散されている画像がこれ。広い額に貼り付くように長髪が垂れており、大きな瞳とつり上がった口が特徴的な人形で、不気味に思ったり怖がったりする子どもがいても不思議ではありません。


Momoは「さまざまなYouTube上のムービーに隠されている」とされ、偶然Momoが登場するムービーを見た子どもに対し自殺するように指示したり、ほかの人に危害を加えるように命令したりするといわれました。Momoチャレンジに関する一連の情報は2018年の夏ごろからスペイン語圏の国々で広まり、最初はメッセージアプリのWhatsApp上で10代の子どもたちの間で脅威となっていると報じられました。


しかし、実はMomoチャレンジに関するウワサは全くのデマであり、実際にMomoという存在がYouTubeやSNS上で子どもに自殺をそそのかしているという事実はありません。Momoのもとになったのは日本人の造形作家である相蘇敬介氏による「姑獲鳥」という作品であり、2016年に東京のヴァニラ画廊で行われた「幽霊画廊Ⅲ― 冥界のジャスパー ―」というイベントで展示されたもの。この姑獲鳥の画像が海外掲示板のRedditで人気となり、「Momoチャレンジ」という都市伝説が生まれたとされています。

Momoチャレンジがインターネット上で広まりを見せたのは、2018年の夏ごろに「アルゼンチンのブエノスアイレス近郊に住む12歳の少女が、Momoチャレンジによって自殺した」という報告が上がってからです。この報告によると少女の兄が裏庭で首をつった少女の遺体を見つけた際、近くにはスマートフォンが落ちていて、少女は自殺の前にスマートフォンで自分の姿を撮影していたとのこと。「当局はWhatsAppを通じて知り合った人物に自殺をそそのかされたと見ている」とウワサされていますが、アルゼンチン当局はMomoチャレンジによって少女がそそのかされた事実どころか、自殺した少女の存在すら確認していません。

しかし、その後もインドで2人の青年がMomoチャレンジによって死亡したとされたり、コロンビアで12歳の少女と16歳の少年が自殺したのはMomoチャレンジによるものだといったウワサが広まりました。もちろん子どもたちがMomoチャレンジを行った結果亡くなったという証拠はありません。2019年2月末時点でMomoチャレンジの内容は「YouTubeのムービーに隠されており、偶然それを目にした子どもに自殺を指示する」という形になっていますが、YouTubeはプラットフォーム上のムービーに「Momoチャレンジ」が存在する証拠は見つかっていないと述べています。

by mohamed Abdelgaffar

「子どもを自殺に追いやる謎の存在」といった衝撃的なニュースは人々の耳目を集めやすく、インターネット上で拡散しやすい話題です。また、デマに便乗して実際にMomoチャレンジへ誘導するかのようなアカウントを作ったり、Momoを使った不気味なムービーを投稿するインターネットユーザーも存在するとのこと。

アメリカの作家であり都市伝説などに詳しいBenjamin Radford氏は、「Momoチャレンジに関するデマの拡散は、自分の子どもが何をしているのかを知りたがる親たちによって引き起こされたモラルパニックです」と述べています。子どもの心配をする親たちはこういった不安を駆り立てるニュースに飛びつきやすくなり、結果としてさらに悪質なデマが拡散することになるそうです。

スマートフォンの普及によって子どもが何をしているのか知らない親が増えており、2016年の研究では60%の子どもが親の知らないSNSアカウントを作成しており、多くの子どもが「親は自分がインターネットをどのように使っているのか知らない」と答えています。このような親と子のギャップが、Momoチャレンジのようなデマを拡散させる一つの要因になっているとRadford氏は考えています。

by natureaddict

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in メモ,   モバイル,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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