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16言語を独学で習得した同時通訳者ロンブ・カトーに学ぶ語学学習の極意とは?


ハンガリーの翻訳者ロンブ・カトー氏は、英語、中国語、フランス語、日本語、ロシア語を含む16言語を独学でマスターしたという「語学の達人」です。「単語は辞書で調べない」「文章の中でフレーズを覚える」「文法は推理して楽しむ」などの、語学を独学で完全マスターするために取り入れた彼女の手法は、あらゆる語学学習に応用できる普遍の真理が隠されていると考えられています。

Kató Lomb - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Kat%C3%B3_Lomb

16か国語を海外に移住することなくハンガリー国内で独学でマスターしたカトー氏は、5つの言語に関しては同時通訳できるレベルの修練度を持っていた「語学のプロ」とでもいうべき偉人です。ちなみにカトー氏が「熟達」レベルと自認していたのは英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、母語であるハンガリー語で、次のレベルにはイタリア語、スペイン語、日本語、中国語、ポーランド語、第3のレベルでルーマニア語とブルガリア語があり、書かれたテキストを読んで理解できるレベルでは28言語もあったという、常人離れした語学能力を身に付けていたそうです。


そんなカトー氏が、自身の語学学習スタイルをまとめた著書「How I Learn Languages(わたしの外国語学習法)」には語学学習の秘訣が散りばめられており、世界中でベストセラーとなっています。カトー氏が語学を学ぶ上で取り入れていた以下の手法は、語学を学びマスターしたいというすべての人にとって参考にすべきアイデアが満載です。

◆モチベーション×時間÷恐怖=結果
まず、語学をマスターするためには「モチベーション(やる気)」が肝心だとカトー氏は述べています。「その言語にどれくらい興味があるか?」「その言語で何をしたいのか?」「その言語は自分にどんな意味を持つか?」「その言語を学ぶことでどんな利点があるか?」という質問に答えることで語学学習に対するモチベーションは測定できるとのこと。そして、上達をもたらすものは「学習できる時間」であり、上達を損ねるものは「うまく話せないことで笑われるのではないか?という戸惑いや恐怖」だとカトー氏は考えており、「モチベーション」×「費やした時間」÷「戸惑い・恐怖」という公式から、語学の上達度は決定されるという持論を持っていたそうです。つまり、高い学習意欲を持ち、正しい文法が使えなかったり流ちょうに発音できなかったりしても気にすることなく、コツコツと学習時間を積み重ねることがマスターへの道だとカトー氏は考えていたわけです。


◆3種の言語体験
カトー氏によると言語の世界では「autolexia」「autographia」「autologia」という3つの状態を体験するのが良いとのこと。autolexiaとは「自分のために読む」という意味で、小説でも何でもいいので何度も繰り返し読むこと、autographiaとは「自分のために書く」という意味で、自分の考えや何気ない日常の体験などを文章にしてみること、autologiaは学習している言語を使って自身の気持ちの中で自問自答することを意味するのだそうです。

カトー氏にとって語学の学習は読み・書き・自問という3つを学ぶことから構成されていたとのこと。

◆小説を読む
カトー氏は対話形式の問答を繰り返すような一般的な語学学習テキストは飽きてしまうのだとのこと。カトー氏はテキストの代わりにまったく知らない言語で書かれた「小説」を学習教材にして、小説には大好きな推理小説や恋愛小説などを選んでいたそうです。そして、単語や文法などもわからないまま読み進めて推理するのだとのこと。重要な単語はその場限りでなく再び現れるので、「単語自身が自らの意味を説明してくれる」のだとのこと。


「辞書や参考書で逐一確認することは、読むという行為を中断してしまうためムードを壊し、発見する楽しさを奪ってしまう」とカトー氏は述べています。また、理解できないとしても戻って読み返すことはせず、スキップして先へと読み進めるのだとのこと。読むという行為を中断することは学習の大きな妨げになるとカトー氏は考えていたようです。なお、カトー氏は学習書でもある小説の余白に、自分が理解できたことを書き込みつつ、繰り返し読むというスタイルをとっていたとのこと。

◆コンテキスト
カトー氏はあらゆる言語において単語はまわりの単語との組み合わせによって意味が決定されると考えていました。つまり、その単語を単独で理解するのではなく、周りの単語を含めた熟語やフレーズとして理解すること、単語にまつわるコンテキスト(文脈)の中で単語の意味を理解することを重視していたそうです。


カトー氏によると、コンテキストにもとづいて理解し暗記することで、一つの単語を忘れたとしてもその周りの単語から思い出させる効果が現れるとのこと。

◆完璧さを求めない
カトー氏は語学を学ぶ中で絶えることのない「楽しみ」を感じ続けることができたとのこと。失敗を気にすることなく常に学ぶ楽しみを持って継続することが語学学習の重要なカギであり、繰り返される努力によって言語は次々とマスターできたそうです。

カトー氏の母国であるハンガリーには「中途半端な知識なら、知らない方がまし」ということわざがあるそうですが、「たとえ未熟でも知っている方が良い唯一のものが言語です」とカトー氏は述べています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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