Uberが新規ライセンスの発行を一時停止したニューヨーク市を提訴
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ライドシェアリングサービスを提供するUberは2019年2月15日、ニューヨークで施行されている「ライドシェアリングサービスの新規ライセンスを一時的に停止する規制法」が、今後永久にライセンス発行を停止するためのものであると主張し、規制撤廃を求めてニューヨーク市を提訴したと報じられています。
Uber sues to overturn New York City’s cap on new ride-hail drivers - The Verge
https://www.theverge.com/2019/2/15/18226599/uber-nyc-driver-cap-lawsuit-de-blasio
Uber sues NYC to contest cap on drivers | TechCrunch
https://techcrunch.com/2019/02/16/uber-sues-nyc-to-contest-cap-on-drivers/
2018年8月、ライドシェアリングサービスによって交通渋滞が引き起こされているとして、ニューヨーク市議会は「ライセンス数の制限基準調査を行う」という目的で1年間の新規ライセンス発行を停止する法案を可決しました。この法案に対して、UberやLyftなどニューヨークでライドシェアリングサービスを展開する企業は「規制を撤廃してくれれば資金援助を行う」と提案しましたが、ニューヨークはこの提案を拒否しています。
「配車サービス規制法案」を止めるためUberやLyftが100万ドルの支援を提案するもニューヨーク市は拒否 - GIGAZINE
Uderは訴状の中で、ニューヨーク市長のBill de Blasio氏は2015年にもUberとLyftの新規ライセンス発行を制限することを提案していたことに言及し、「de Blasio市長は最初に禁止して後ほど調査する名目で法案を提出し、今後永久的にライセンスの上限数を設けるつもりだ」と主張し、de Blasio市長がライドシェアリングサービスを不当に脅かしていると述べています。
一方、安価なライドシェアリングサービスの登場によってタクシー業界の売上が低迷しています。ニューヨークでは「メダリオン」と呼ばれるタクシーライセンスを取得しなければタクシー業を営むことはできません。このメダリオンの価値がライドシェアリングサービスの登場によって下がっていて、多くのタクシー運転手が経済的困難に陥っているとのこと。報道によると、6カ月で6人のタクシー運転手が借金を苦に自殺しているそうです。
そもそもUberやLyftが安価に配車サービスを提供できているのは、サービス運転手に対する賃金が低すぎるからという理由もあります。ニューヨークで可決された法案はもともと、ライドシェアリングサービスの運転手に対する賃金を引き上げる案と共に提示されたもの。2月1日に施行されたこの法律では、運転手に対して最低でも1時間あたり17.22ドル(約1900円)の支払いを義務づけています。Lyftはこの法律の施行を阻止するために訴訟を起こしましたが、最終的にドライバーへの賃金の引き上げを受け入れています。
Uberの広報担当者は「市議会の新しい法律はドライバーの生活賃金を保障する名目ですが、実質的には政治的権力でニューヨーク市民がライドシェアリングサービスを利用することを妨げるものです」と述べています。
ニューヨーク市の広報担当のSeth Stein氏は「どんな訴訟がこようとも、Uberが渋滞問題を引き起こして、最低賃金を下回る賃金を支払っている事実は明らかです。新しい法律はそれを変えるために制定されました」と、真っ向から対立する姿勢を見せています。
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