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Uber・Lyft・DoorDashらがドライバーへの最低収入保障や医療補助を開始、新法成立のカリフォルニア州で


配車サービス大手のUberやLyft、食事配達サービスを手がけるDoorDashの本拠地であるカリフォルニア州で2020年11月3日に、アプリを通じて仕事を請け負うドライバーへの福利厚生拡充を事業者に義務づける法律をめぐる住民投票が実施され、賛成多数で可決されました。これを受けて、Uber・Lyft・DoorDashらが相次いでカリフォルニア州のドライバー向けの福利厚生制度を発表しています。

Uber and Lyft roll out new benefits for California drivers under Prop 22 - The Verge
https://www.theverge.com/2020/12/14/22174600/uber-lyft-new-benefits-california-drivers-prop-22-gig-economy

食事配達サービス・Uber Eatsをはじめとするギグ・エコノミーの労働形態は、その利便性や新型コロナウイルス感染症の影響を背景に、近年規模が急拡大しています。一方、UberやLyftらがドライバーを「自営業者」と位置づけていることに対しては、「燃料費や自動車の維持コストをドライバーに転嫁している」といった指摘がなされているほか、「正規労働者として認めるべき」との声も上がっています。

こうした声を背景に、カリフォルニア州では配達サービスのドライバーを自営業者ではなく社員として扱うことを義務づけるカリフォルニア州議会法案第5号(通称「AB5法案」)が制定され、2020年1月1日から施行されました。しかし、AB5の施行後もUberやLyftは相変わらずドライバーを自営業者として扱い続けており、この状況の改善を目的としたカリフォルニア州最高裁判所による業務停止命令も執行猶予により先送りとなるなど、AB5の制定はドライバーの待遇改善に結び付いていないのが現状です。

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そんな中、カリフォルニア州では11月3日に、AB5の規制緩和を目的とした2020年カリフォルニア州提案事項22(提案22)に関する住民投票が行われ、投票総数の58.63%の支持を得て可決されました。UberやLyft、DoorDashはこの提案22の成立を目指すYeson22キャンペーンに、カリフォルニア州では過去最大規模の2億ドル(約208億円)以上もの資金を投じたといわれています。

前述のとおり、AB5によりカリフォルニア州のドライバーは社員として扱われることになっていますが、提案22はその例外として、アプリを通じて仕事を請け負うギグ・エコノミーのドライバーを自営業者に分類することを認めました。その代わり、提案22はドライバーに仕事を仲介する事業者に対して、最低収入保障・医療補助金・自動車保険などをドライバーに提供するよう義務づけています。


ドライバーに対する福利厚生の拡充を規定している提案22の可決を受けて、Uberをはじめとする配車・配達サービス各社は一斉にドライバーの待遇改善策を打ち出しました。

Uberは12月13日に公式ブログを更新し、新たな福利厚生プログラムを発表しました。このプログラムは、ドライバーに対して最低賃金より少なくとも20%以上を上乗せした給料を保障するほか、1マイル(約1.6km)当たり30セント(約31円)を経費として支払うというもの。また、2週間に稼いだ金額が最低賃金保障額より低いドライバーには、2つの金額の差額が自動的に支給されるとのことです。Lyftも、Uberと同様に最低賃金の120%の賃金と1マイルあたり30セントの補償金を支払うと発表しています。

一方、DoorDashは提案22が可決した直後の11月5日に、2021年4月から医療補助金を支給すると発表しました。医療補助金の具体的な内容は、追って公開するとしています。

提案22を受けた各社の対応について、IT系ニュースサイトThe Vergeは「ギグ・エコノミー各社は、『AB5はドライバーからの柔軟性を奪い利用客の待ち時間と利用料金を増加させる一方で、提案22によりドライバーを自営業者として分類し続けながら付加的な手当も提供できる』としています。しかし、反対派は『提案22の内容ではフルタイム雇用と同等の経済的安定性は実現されない』と主張しています」と指摘しました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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