クラフトビールは冷蔵保存していても3カ月で香りがかなり抜けてしまう
by Elevate
完成に近いビールにホップをさらに加えることで強い香りを加える「ドライホッピング」と呼ばれる手法は、個々のビールらしさを出すためにクラフトビール(地ビール)ではよく使われるのですが、その香りはあまり長持ちするものではないことが調査により明らかになりました。
Store craft beer in a cool place and consume it as fresh as possible
https://www.leibniz-lsb.de/en/press-public-relations/pressemitteilungen/pm-20190114-pressemitteilung-craft-beer/
Store craft beer in a cool place and consume it as fresh as possible: What changes when the beer ages -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/01/190114114234.htm
アメリカでは業界団体ブルワーズ・アソシエーションにより、クラフトビールの醸造所(クラフト・ブルワリー)は「小規模」「独立系」「伝統的」という3条件を満たしていることと定義されています。2014年に定義の細かい部分が修正されても、この大枠は揺らぎませんでした。
「小規模」は、年間生産量が600万バレル以下であることを指します。アメリカのビール用バレルは117リットル強なので、600万バレルは約7億リットル(約700メガリットル)に相当します。ただ、600万バレル規制は物議を醸しているとのことで、2014年の定義修正で「アメリカの年間売上高の約3%」というただし書きが追加されました。
「独立系」は、そのブルワリーをクラフト・ブルワリーではない飲料アルコール業界が所有・管理する場合、割合は25%未満であることを指します。つまり、ブルワリーの75%は関係者が所有・管理する状態である必要があります。
「伝統的」は、ブルワリーの生産するビールの大部分が、風味を伝統的、または革新的な醸造成分とその発酵に由来するものであることを指します。この項目については、具体的に「フレーバーモルト飲料(FMB)はビールではない」と定められています。
これらのクラフト・ブルワリーでは様々なクラフトビールが生み出されていますが、そこで用いられている香り付けのテクニックの1つが、ビール造りの最終工程でホップを直接投入する「ドライホッピング」です。この工程では、4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノンが大きな役割を果たし、1リットルに対してわずか数ナノグラムという分量でも、ビールの香りに対して影響を与えます。
ミュンヘン工科大学ライプニッツ・フードシステム生物学研究所のマーティン・シュタインハウス氏とクラース・レグリッツ氏は、ビールの貯蔵中に香気成分がどのように変化するかを調査しました。
by Wade Austin Ellis
使用されたビールは酵母を濾過したドライホップクラフトビールと未濾過のドライホップクラフトビールで、それぞれセ氏5度と20度で6カ月貯蔵したもの。調査の開始時、濾過ビールは1kgあたり22ng、未濾過ビールは1kgあたり15ngの香気成分を含んでいました。
調査開始3カ月後、5度で保存したビールの香気成分は、濾過ビールが元の59%、未濾過ビールが67%に低下しました。20度だとさらに香気は減り、濾過ビールで30%、未濾過ビールで40%に低下しました。
調査開始6カ月後には、すべてのサンプルで香気成分が著しく減少し、ものによっては1kgあたりわずか2ngにまで減少したとのこと。
この研究結果は、学術誌・BrewingScienceに掲載されています。
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