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インターネット黎明期から生き残る成人向けコンテンツ「アスキーポルノ」とは?


文字や記号を組み合わせて写真やイラストを再現する「アスキーアート」はインターネットの歴史、特に日本のインターネット・ミームからは切っても切り離せない文化の一つです。そんなアスキーアートの世界に存在する、成人向けのわいせつな画像やムービーを題材とした「アスキーポルノ」についてMotherboardが解説しています。

ASCII Pr0n Predates the Internet But it’s Still Everywhere
https://motherboard.vice.com/en_us/article/nepapk/ascii-pr0n-porn-predates-the-internet-but-its-still-everywhere-rule-34


アスキーアートは文字を使って写真やイラストを表現するもので、古くはタイプライターが発明された19世紀から存在しました。当初は「カリグラム」などと呼ばれていましたが、1960年代に7ビットの文字コードである「ASCII(アスキー)」コードが普及し、「アスキーアート」という名前で呼ばれるようになりました。日本では、80年代からパソコン通信の中で顔文字をはじめとした独自のアスキーアート文化が発達。1990年代末から2000年代には2ちゃんねるを中心として急成長し、日本独自のアスキーアートがインターネットユーザーの共通言語として確立するまでになりました。

海外のインターネット・ミームの1つに「ルール34」と呼ばれるものがあります。「ルール34」とは「If it exists, there is porn of it, no exceptions.(それが存在する限りそれのポルノは存在し、例外はない)」というもので、どんなものでも二次創作のポルノが作り出されていることを指し示す言葉です。さらに、「どんな場所や状況、メディアでもポルノは存在する」とより広い意味合いで使われることもあり、それはアスキーアートの世界でも例外ではありませんでした。

「goto80」と名乗るアスキーアート職人によると、アスキーポルノ自体はインターネット普及前の1970年代には既に存在していたとのことで、テレビの電波に乗せて文字や画像を送信できる「テレテキスト」を媒体として送受信されていたことが確認できるそうです。


goto80氏は「最初に、アマチュア無線家は音声ではなく文字を無線で送信することを思いつきました。そして、彼らはプレイメイトのヌードをASCIIコードに変換してやりとりしています」と証言。なお、「テレテキストでポルノ画像を送信する」という文化は、現代になってチップチューン文化の盛り上がりと共に再評価されているそうです。

Erotic teletext service pic.twitter.com/mhs3nT0WLm

— achtsechsteletext (@achtsechstelet1)


アスキーアートでポルノ画像を描く「アスキーポルノ」は、インターネットを介して送信されるポルノの最初の形態だといわれています。テキストで構成されるアスキーポルノは、画像そのものをやりとりするよりもはるかにデータサイズが小さく、フロッピーディスクによる持ち運びも簡単で、高速な送受信も可能。また、精度の低いプリンターや画像に対応していないプリンターでも簡単に印刷できてしまうという点も大きなメリットでした。


こうしたアスキーポルノを生み出す「アスキーポルノ職人」はそれぞれ独自のスタイルを持ち、3文字のコールサインやハンドルネームを使って活躍していたそうです。当時知られていた職人には、「bug」を名乗っていたBlazej Kozlowski氏や、「F_P」を名乗るFaux Pseudo氏、「jgs」を名乗るJoan Stark氏などがいました。Kozlowski氏のアスキーポルノは大量の文字でより写実的にヌードを描いているのに対して、Stark氏のアスキーポルノはデフォルメが強く、シンプルでコミカルな作風です。また、アニメーターのMike Jittlov氏が1993年に制作した「Meriday in the Morning」という作品は単に消費されるポルノ画像ではなく、ASCIIコードを用いて描かれた1枚の裸婦画といってもいいくらい洗練されています。


光回線による常時接続が当たり前になり、1枚のポルノ画像を瞬時に送受信できるようになった現代でも、アスキーアートやアスキーポルノの愛好家は多く存在します。「アスキーアート」という巨大な大衆芸術文化の流れに生まれたアスキーポルノは芸術家や評論家からも評価が高く、1998年に作られたアスキーポルノムービーの「Deep ASCII」がバークレー美術館&パシフィック・フィルム・アーカイブのオンラインギャラリーで展示された際には、アメリカの美術雑誌「Art Prtactical」が絶賛しています。

「Deep ASCII」を制作したVuk Ćosic氏は「私は昔の成人映画『Deep Throat』が象徴的でわかりやすいと思い、アスキーポルノムービーに仕上げました。また『Deep Throat』が公開された1972年にはAtariの『ポン』も開発されていることから、1972年がゲームと映画という2つの娯楽において重要な節目となっていることも気に入っていました」と語っています。

しかし、テキストで構成される以上、画像よりも簡単にコピー&ペーストが可能なアスキーアートは著作権が無視されやすいという問題に直面しています。アスキーアート作家のLaura Brown氏は「人々はアスキーアートが全て無料で入手できると考えているようです。しかし、アスキーアートは芸術であり、他の写真や絵画と同等なのです」と述べています。


インターネットの歴史の中で数多くのアスキーポルノが作られてきましたが、2018年にはほとんど見かけることがなくなりました。しかし、アスキーポルノの存在は芸術として高く評価されるようになり、過去に作られた作品は一部の有志によってコレクションが公開されていたり、アーカイブされていたりしています。

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in メモ,   Posted by log1i_yk

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