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5年で57億円かかるエルゼビアの論文閲覧システムの契約交渉で大学側が値下げを要求

by Alexander Michl

カリフォルニア大学では、学術出版社大手であるエルゼビアとの間で、2500以上の学術雑誌と43万本以上の論文を閲覧することができるシステムについて、5年間で約5000万ドル(約57億円)の契約を交わしています。この契約は2018年末で切れることになっているのですが、契約の更新はまだ行われておらず、ロサンゼルス校(UCLA)の当局が教授らに対して、エルゼビアの発行する学術誌に掲載される予定の論文のレビューをしないようにと異例の通知を出す事態となっています。

In Talks With Elsevier, UCLA Reaches for a Novel Bargaining Chip: Its Faculty - The Chronicle of Higher Education
https://www.chronicle.com/article/In-Talks-With-Elsevier-UCLA/245311


大学当局の呼びかけは、契約交渉の内容が「明らかに生産的な方向に進んでいる」と判断できる状態になるまで、エルゼビア発行の学術雑誌に掲載される論文のレビューを拒否することを検討して欲しいというもの。また、著名なオープンアクセスジャーナルを含む、他の学術雑誌での研究発表の呼びかけも行われています。

高等教育に関するニュースを発信している「The Chronicle of Higher Education」によると、今回のように大学が特定の出版社の仕事をボイコットするように呼びかけるのは初のこと。ただし、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)の司書であり経済と情報の教授でもあるジェフリー・K・マッキー・メイソン氏によると、15年前にエルゼビアのシステムが高すぎることを理由に分子生物学の学術雑誌6冊のボイコットを呼びかけた事例はあるそうです。

エルゼビアは「コンテンツの量は年を追うごとに増加し、購読する価値も上がっていて、論文の外部からの引用も増えている」と、約57億円という価格が妥当である旨の主張をしていますが、以前から、購読料を取る一方で、査読や編集管理がボランティアで行われているという収益体制の欠点が指摘されていました。


交渉の詳細は明かされていないものの、交渉担当者であるマッキー・メイソン教授は、カリフォルニア大学とエルゼビアが結んでいるのは「購読料とオープンアクセスの出版料をカバーする契約」であることを明かしています。

大学の要求は、企業の利益が出版コストをはるかに上回っているのであれば、契約の価格は下げるべきであるというもの。カリフォルニア大学の雑誌購入費のうち、25%がエルゼビア1社に費やされているとのこと。

大学が経費削減に取り組んでいることについては、同情的な見方を示している教職員が多く、オープンアクセスの学術雑誌の利用もやぶさかではない模様。ただ、若手研究者にとってはエルゼビアの「権威」が必要であるという懸念を表明する人もいて、「エルゼビアにはついていけない」と交渉を打ち切るわけにもいかないようです。

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in メモ, Posted by logc_nt

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