「脳食いアメーバ」の生息範囲が温暖化で拡大中
by Jay Shouldol
脳を食べる「殺人アメーバ」の存在は以前から語られてきましたが、気候の温暖化に伴い、その生息範囲が広がっているようです。
Brain-eating amoebas are spreading—and that’s just as bad as it sounds | Popular Science
https://www.popsci.com/brain-eating-amoeba-spreading
「脳を食べるアメーバ」は暖かい気候で水中に生息しているフォーラーネグレリアと呼ばれるアメーバです。
フォーラーネグレリアは鼻腔から侵入し、「脳食い」と呼ばれるように脳に到達し、原発性アメーバ性髄膜脳炎(髄膜炎)を引き起こします。症状は嗅覚の変化から始まり、頭痛や吐き気、発熱、肩こりなどの症状が現れ、最終的には昏睡状態に陥って、死に至ります。この症状の進行は、およそ5日ほどの間に起こります。アメリカでは南部の州の湖や池、貯水池などに生息していることが知られていて、1965年の初例報告以来、世界的には数百例の報告があるとのこと。アメリカの事例は133例で、1年間の感染例は多くても8例ほどです。
髄膜炎はウイルスや寄生虫、真菌などによって引き起こされることもあり、いずれも命を奪う危険性がありますが、Popular Scienceによれば、抗生物質や抗ウイルス剤が効かず効果的な対処方法がないという点でアメーバ性の髄膜炎は特に危険だそうです。過去、発症した患者のうち死亡例は95%に上ります。(PDFファイル)アメリカ疾病予防管理センターのレポートによると、アメリカの133の発症事例のうち、生存者は3名だとのこと。
ただし、フォーラーネグレリアの生息範囲は気候の温暖化に伴って広がっていて、2010年以前の北限はミズーリ州でしたが、今はミネソタ州、インディアナ州、カンザス州などでも確認されているそうです。
同じように、フォーラーネグレリアの生息に適した水域は他の国でも広がっていくと考えられているので、こうした危険なアメーバが身近に存在しうるということは、頭の片隅に置いておいた方がよいかもしれません。
なお、日本での感染・発症例は1996年11月に佐賀県鳥栖市で確認された1例のみだとのことで、どこで感染したのかはわかっていないそうです。
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