オーガズムを覚える時の表情は西洋と東洋で違うことが判明
by Valeria Boltneva
性的快感が蓄積されてやがて絶頂を迎えるオーガズムを覚える時の表情は、西洋と東洋の文化の違いに応じて変化していることが研究によって明らかになりました。
Distinct facial expressions represent pain and pleasure across cultures | PNAS
http://www.pnas.org/content/early/2018/10/03/1807862115
Orgasm Faces Are Different Across Cultures—but Pain Looks the Same
https://www.newsweek.com/orgasm-faces-are-different-across-cultures-pain-looks-same-1166806
人間は表情を使ってさまざまな情報を相手に伝達し、社会的なコミュニケーションを取っています。従来の研究から、オーガズムに達した時の表情は「痛み」を覚えた時の表情と類似していることがわかっていましたが、オーガズムと痛みは全く異なる意味合いを持つものです。「オーガズムと痛みが似た表情になるのは、合理的ではない」と考えたグラスゴー大学の研究者は、人間がオーガズムに達する時の表情について研究を行いました。
グラスゴー大学の心理学者であるレイチェル・ジャック氏は、顔をアニメーション化したプログラムを用いてさまざまな表情のセットを作成したとのこと。最初の研究では40人の西洋人男女および40人のアジア人男女に対し、ランダムに生成された3600通りの表情セットが表示され、参加者はそれぞれの顔について「痛み」を覚えているのか、それとも「オーガズム」を覚えているのかを識別しました。
参加者は痛みとオーガズムの識別だけでなく、その度合いが強いのか、それとも弱いのかといったレベルについても評価したとのこと。また、痛みにもオーガズムにも当てはまらない表情だと参加者が判断した場合は、「どちらでもない」を選択することもできたそうです。
by Stokpic
最初の実験を経て表情生成プログラムを改良した研究チームは、さらに104人の西洋および東洋の文化で育った参加者に表情セットを見せ、痛みとオーガズムの識別を行わせました。参加者にはあらかじめ「どれほど自分が生まれ育った文化以外の文化に触れていたのか」ということが尋ねられており、それぞれほぼ純粋に自分の生まれ育った文化のみに触れてきた人々が選ばれているとのこと。また、見せる表情は西洋人の男性であれば西洋人の女性、東洋人の女性であれば東洋人の男性という風に、同じ人種で別の性別の顔に限定しました。
実験の結果、それぞれの文化圏で生まれ育った人々は痛みとオーガズムの表情について、いずれも同じ傾向で識別することがわかりました。痛みを感じる表情については、眉が下がって頬が盛り上がり、鼻にシワが寄って口元が伸びるなど、西洋も東洋も同様の動きを共有していたとのこと。
一方でオーガズムについては、文化によって異なる結果が現れました。西洋人はオーガズムに達した時の表情について、目を見開いて口を大きく開けた表情を選択する傾向にありました。ところが、東洋人は笑ったように広角が上がり、目が閉じたような表情について「オーガズムを感じている」と識別する傾向にあったそうです。
今回の研究により、「痛みとオーガズムの顔はほぼ同じである」という従来の説を覆すものだとジャック氏は述べています。それだけでなく、文化の差異がオーガズムに達した時の顔の差異を形作っている可能性も示唆されました。
例えば、西洋人が目や口を大きく開けた表情をオーガズムに達した時にすることは、オーガズムのような肯定的状態を「高い覚醒状態」と評価していることを表すとのこと。一方で東洋人が目や口を閉じた穏やかな表情をオーガズムの時の表情と評価するのは、「低い覚醒状態」を肯定的な状態であると評価する文化的傾向によるものである可能性があります。つまり、東西の文化の差異がオーガズムの時の表情にまで影響を与えているかもしれないと、ジャック氏らは考えているそうです。
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