「歯」に含まれる化学物質を分析することで病気のリスクを測定できる
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人間の歯は生後6~8カ月ごろから乳歯が生え始め、やがて永久歯に生え替わります。そんな人間の歯に含まれている化学物質を分析することで、その人がどのような病気のリスクを抱えているのかが測定できると報じられています。
In Teeth, Markers of Disease - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/custom-media/mount-sinai/in-teeth-markers-of-disease/
通常は子どもの乳歯が抜け落ちると、そのまま捨てられてしまうことがほとんどです。しかし、ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の研究者であるマニッシュ・アローラ氏は、抜け落ちた歯を人間のサンプルの一種として利用し、病気の早期兆候を見つけ出すという活用方法を開発しました。
アローラ氏は、「人間の歯は、生物学的な記録媒体です。歯を分析することで、その人がどのような化学物質にさらされてきたのかがわかります」と述べています。人間の歯に含まれている化学物質を分析することで、自閉症やADHD、ガンに加えて筋萎縮性側索硬化症といった病気のサインを見つけ出し、早期の治療を行うことができるとアローラ氏は考えています。
特にアローラ氏が注目しているのは、ある程度の年齢になると自動で抜け落ちる乳歯です。髪の毛のおよそ10分の1ほどの細さであるレーザー光を使用して、アローラ氏は乳歯の内部に蓄積される病気のサインをマッピングするという研究を行っています。乳歯のどの場所にどのような化学物質が蓄積されていると、どの程度病気のリスクがあるのかを明らかにすることで、病気を早期発見して治療することに役立てられるとのこと。
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アローラ氏はシドニー大学の博士課程に在籍していた時、同僚が知らせてきた「子どもの乳歯に含まれる鉛の量が多いほど、子どものIQは低くなる」という研究に興味をそそられたとのこと。その後、アローラ氏は物理学科と協力してレーザー光などを利用した分析法を開発し、比較的手に入りやすい乳歯から化学物質を検出する手法を考案したそうです。
マウントサイナイ医科大学でアローラ氏は、人間が化学物質にさらされることの影響について研究していました。その最中、自閉症の子どもは特定の化学物質を体内で処理することができず、蓄積されてしまうということをアローラ氏は発見しました。この化学物質処理にまつわる機能不全は妊娠第3週から発生するそうで、機能不全の原因は不明であるものの、体内における化学物質の蓄積は自閉症の早期発見につながるとアローラ氏はひらめいたとのこと。
子どもが自閉症であることが早期に判明すれば、それだけ早く治療を行うことが可能な上、自閉症を抱える子どもに対する素早いケアを実践できます。もちろん、乳歯は勝手に抜け落ちるまで分析することができませんが、研究から得られたデータをもとに血液や尿など、他のサンプルから病気の早期兆候を発見する手がかりになるかもしれません。「生まれ持った遺伝子を変更することはできませんが、その後の環境は病気を発見することで変えられます」とアローラ氏は語りました。
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in サイエンス, Posted by log1h_ik
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