100%植物由来の人工肉「Impossible Foods」に対し動物愛護団体が「発がん性がある」と訴える
100%植物由来でありながら牛肉の食感・匂い・味を再現した「Impossible Foods」はビル・ゲイツ氏を始めとする多くの投資家からの出資を受けており、Impossible Foodsをパティに使用したハンバーガーショップ「Impossible Burger」は全米に店舗を展開しています。そんなImpossible Foodsを相手に、動物愛護団体のPETAが「Impossible Foodsの安全性をテストするために188匹のラットが犠牲にされた上に、Impossible Foodsには発がん性がある」として非難しています。
PETA roasts Impossible Burger for rat tests, suggests patties cause cancer | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2018/08/peta-roasts-impossible-burger-for-rat-tests-suggests-patties-cause-cancer/
More Than 180 Rats Killed in 'Impossible Burger' Tests | PETA
https://www.peta.org/blog/why-it-is-impossible-for-peta-to-get-behind-the-impossible-burger/
Setting the record straight: How PETA extremists are undermining their own mission
https://medium.com/impossible-foods/setting-the-record-straight-how-peta-extremists-are-undermining-their-own-mission-d1b96187f14
Impossible Foodsについては、以前からアメリカ食品医薬品局 (FDA)が安全性に関するデータの提供を要求していました。FDAが懸念していたのは、大豆をもとに作られたImpossible Foodsで牛肉っぽさを再現するために使用したレグへモグロビンという物質で、FDAは「人工的に作られたレグヘモグロビンが健康に問題を引き起こす可能性があるのではないか」という疑問をImpossible Foodsに伝えていたとのこと。
100%植物由来のハンバーガー「Impossible Burger」の安全性にFDAは疑念を持っている
そこで、Impossible Foodsは自社製品の安全性をテストするために、188匹のラットを使用しての動物実験を実施しました。実験では、ラットに対して人間が通常摂取する以上のレグヘモグロビンを摂取させ、健康に影響が出ないことが確かめられました。しかし、PETAはこの実験に対して異議を唱えています。「PETAの科学者による『動物実験をする必要はない』というアドバイスを無視し、Impossible Foodsは動物実験を行った」として、PETAは自身のホームページでImpossible Foodsを非難しました。
レグヘモグロビンはImpossible Foodsの宣伝でも「植物由来にもかかわらず、牛肉の質感を生み出す『秘密のソース』」と説明されているほどで、Impossible Foodsにとって欠かすことのできない重要な要素です。そこで、FDAからの指摘を受けたImpossible Foodsの広報担当者であるレイチェル・コンラッド氏は「苦しいジレンマに直面したが、数十億頭の牛を救うためにもラットによる動物実験を決断した」とブログで記し、なるべく人道的な方法で動物実験を行ったとしています。
また、同じブログの中でコンラッド氏は「2017年8月からPETA活動家によるImpossible Foodsへの攻撃が実施されており、SNS上でのネガティブキャンペーンに加え、大量のメールをImpossible Foodsに送信して業務を滞らせようと試みている」と語り、PETAの抗議活動は行き過ぎだと糾弾しました。
by audrey_sel
PETAはImpossible Foodsに含まれるレグヘモグロビンには、通常の肉に含まれるヘモグロビンよりも大量の鉄分が含まれているとして、「鉄の過剰摂取による発がんリスクが高まる」とも述べています。確かに「鉄分の過剰摂取はがんの発症に関連している」という研究結果も出ているそうですが、単純にImpossible Foodsを使用したImpossible Burgerを食べた程度で、鉄分の過剰摂取に陥る可能性はほとんどないとのこと。
また、アメリカ国立衛生研究所も「正常な腸機能を有している人は、食物から鉄分の過剰摂取に陥る可能性はほとんどない」と述べています。
・関連記事
100%植物由来のハンバーガー「Impossible Burger」の安全性にFDAは疑念を持っている - GIGAZINE
植物由来の人工肉を使う「Impossible Burger」がいよいよ全米に店舗を大展開スタート - GIGAZINE
ニワトリや牛の細胞から培養された「人工食肉」が2020年代にも食卓に並ぶ見込み - GIGAZINE
100%植物原料なのに焼くと肉汁がしたたり味も匂いも肉そのものな「Impossible Foods」 - GIGAZINE
虫・人工肉・3Dプリンターなど20年後にどんなミートボールが食べられているか予想する「Tomorrow’s Meatball」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ