ニワトリや牛の細胞から培養された「人工食肉」が2020年代にも食卓に並ぶ見込み
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ニワトリや牛の成体から採取された細胞を培養して、食肉を生産するという手法が確立されつつあります。従来の方法で生産された食肉とは異なる「Clean Meat」と呼ばれる鶏肉は、普段私たちが食べている鶏肉とほとんど変わらない食感になっているそうです。
Say Hello to Finger-Lickin’ Lab-Grown Chicken - MIT Technology Review
https://www.technologyreview.com/s/603862/say-hello-to-finger-lickin-lab-grown-chicken/
Lab-Grown Meat Finally Available in Chicken Nugget Form - Eater
http://www.eater.com/2017/3/15/14933922/lab-grown-chicken-duck-memphis-meats
サンフランシスコのベイエリアに拠点を構えるスタートアップ「Memphis Meats」は、食用の肉を動物からではなく、肉の細胞を培養して生産することを目標に設立された企業です。ただし、全くのゼロから食肉を生産することは不可能なので、Memphis Meatsでは基となる動物の個体から幹細胞を採取し、専用の施設で培養することで実際に食べることができる肉に「成長」させる仕組みを確立させようとしています。
このようにして生産された食肉を同社ではClean Meatと呼んでおり、従来の方法で生産された肉と区別しています。Clean Meatで作られた料理や、その狙いなどが以下のムービーで解説されています。
BREAKING: We are beyond proud to announce the world’s first chicken and duck produced by growing animal cells without the full animal. History in the making! #MemphisChicken
Memphis Meatsさんの投稿 2017年3月15日
いい色に焼き上げられたおいしそうなチキン。人工鶏肉を使っているとは、にわかに信じがたい状態。
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しかし、その調理風景は少し異なります。まず、1ポーションごとにパックされた封を開け……
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Clean Meatの鶏肉を取り出します。
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そして塩コショウをして焼き上げていきます。
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これが、Memphis Meatsが生産する予定の新しいタイプの鶏肉というわけです。
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現在、食肉は家畜を育てて生産されています。
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しかし、Clean Meatが実用化されると、何百万という家畜の数を減らすことが可能。同社の共同設立者でCEOでもあるUma Valeti氏は、飼育にかかっていた資源やエネルギーの多くを削減することができるといいます。
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Clean Meatの生産は、動物の体内にある幹細胞を採取するところから始まります。
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幹細胞に水や養分、ミネラル、糖分など成長に必要な要素を与えて培養することで、食肉を生産するという仕組み。なお、この方法は特に秘密にはされておらず、同社の生産施設では見学ツアーも行われているとのこと。
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これまでにも牛の細胞から生産したClean Meatは誕生していたのですが……
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今回のように、鶏肉のClean Meatが実用化に向けて動き出すのは大きなステップになるとのこと。
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なぜなら、鶏肉はアメリカで最も多く消費されている食肉であり、Clean Meatの実用化で期待できる効果が最も大きく現れると予想されているため。
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ちなみに、食べた感じは通常の鶏肉よりも「スポンジーな食感」とのこと。
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現在の大きな課題は、生産にかかるコストです。現時点で1ポンド(約453グラム)のClean Meatを生産するのにかかるコストは9000ドル(約100万円)。一方で、アメリカのスーパーでの平均価格は1ポンドあたり3.20ドル(約360円)とのことで、まだまだ大きな隔たりがあるのは事実ですが、本格的に実用化された段階でどのレベルに落ち着くのかが最も重要なポイントになりそうです。
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なお、このような人工食肉についてはMemphis Meatsのほかに、Google設立者の1人であるセルゲイ・ブリン氏が出資しているオランダの「Mosa Meat」など複数のスタートアップが開発を進めています。Memphis Meatsでは、2021年にもClean Meatの実用化を目指しています。
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