ドライアイスの煙で女性が死亡、一体何が起きたのか?
by Birdies100
2018年7月27日、アメリカ・ワシントン州ピアース郡でドライアイスを積んだ自動車に乗った女性が死亡しました。死因はドライアイスによる二酸化炭素中毒とのことです。
Bizarre death caused by dry ice, Pierce County investigators say | KOMO
https://komonews.com/news/local/77-year-old-woman-suffocates-because-of-dry-ice-heat-and-lack-of-ventilation-in-car
A Woman Died from Dry Ice Fumes. Here's How It Can Happen
https://www.livescience.com/63241-dry-ice-death.html
ピアース郡の連邦保安官局によると、死亡した女性が乗っていた自動車は、アイスクリームのセールスマンである男性の所有物だそうです。男性は仕事の関係で自動車の後ろにドライアイスを冷やしておくためのクーラーボックスを設置しており、男性の妻がこの自動車を借りて母親(男性の母親であり妻にとっては義母)を自宅まで送り届ける予定でした。しかし、自動車が出発してから数時間後に自宅から数ブロック離れた場所で母親と妻が乗った車を見つけ、中で2人が意識を失っているところを発見した男性が緊急通報用電話番号である911に連絡。母親は死亡、妻は重体と伝えられており、母親の死因はドライアイスの煙による窒息死である可能性が高いとのこと。ピアース郡保安官事務所の広報担当を務めるエド・トロイアー氏は、「どういうわけかドライアイスの煙がクーラーボックスから出てきてしまったらしい」と説明しています。
通常、ドライアイスが発する煙は危険なものではありません。しかし、まれにこの煙が致命的な結果をもたらすことがあります。ドライアイスは二酸化炭素の固体形態であり、氷点はセ氏マイナス78度です。ドライアイスは昇華により固体から一気に気体へと変化するのですが、適切な換気が行われていない場所にドライアイスを格納している場合、気体となったドライアイス(つまり二酸化炭素)を大量吸入してしまう可能性があるとのこと。二酸化炭素を大量吸入すると、体内の酸素濃度が低下して頭痛・混乱などの症状が起き、最悪の場合は死亡するケースもあります。
by Shawn Henning
ドライアイスから出る二酸化炭素が原因で死亡するというのはとてもまれなケースではありますが、これまで起こったことがないというわけではありません。疾病対策センター(CDC)によると、2004年にハリケーン・イワンが発生したあと、停電が発生したためドライアイスを購入して食べ物を冷やそうとした男性がいたそうです。男性はドライアイスを購入して帰宅したそうですがそこで気を失ってしまった模様。しかし、この男性の場合、妻が自動車の中で倒れているところを発見してドアを開けたところ目を覚まし、大事には至りませんでした。
2018年に起きたケースの場合、アイスクリームのセールスマンである男性は最近になって新しい車を買ったばかりでした。ピアース郡保安官事務所のトロイアー氏は、「外が暑かったことや、車が新車だったことに原因があるかもしれません。新車は気密性が高く、風通しがよくないですから。このほかにも相性が悪いことが重なったのでしょう」と語っています。
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