2つのドアがあるバスルームでプライバシーと利便性を両立させる方法とは?
何かの問題にぶつかったとき、思いもしなかった意外な方法が事態を解決に導くことがあります。小説家のアウレック・ネバラ・リー氏は「デューク大学で土木工学の教授を務めるヘンリー・ペトロスキー氏が例示した、あるホテルのケーススタディーを考えること」が、課題解決のヒントになるかもしれないと述べています。
The hotel bathroom puzzle | Alec Nevala-Lee
https://nevalalee.wordpress.com/2015/11/27/the-hotel-bathroom-puzzle/
1966年4月の火災で焼失したカナダ東部のケベック州にあったホテル「L'Hotel Louis XIV」の客室には、特徴的なバスルームがありました。そのバスルームは両側に1つずつドアがあり、2箇所から入ることが可能な設計となっていました。
この設計自体はバスルームを共有する必要のある家庭では、実際に存在するもので決して珍しいものではありません。しかし、このホテルの場合、異なる客室同士でバスルームを共有する設計となっていたため、オーナーは「片方の部屋を使用している人がトイレやお風呂を利用している間、もう片方の部屋の人をどうやって入室できないようにするか」を考える必要がありました。
1つの解決策として「ドアに鍵を付けて施錠する」方法があります。しかし、この方法には問題点があり、両方の扉に鍵を付けることで問題が起きることがわかっていました。それは、「バスルームを使用する人は入室直後、隣の部屋の人が入ってくるのを防ぐため、ほぼ間違いなく両方の扉をロックしてしまう」というもの。そして、バスルームを使用し終わった人の多くが隣の部屋に続くドアの鍵を解錠することを忘れたまま退出してしまい、となりの部屋の人がバスルームを使えないというアクシデントが発生したそうです。
一般の家であれば、片方のドアがロックされてしまっても、遠回りして開いている方のドアまで移動すれば、バスルームを利用することは可能です。しかし、このホテルで起きた場合は、両方の部屋の宿泊客が面倒な対応を求められてしまい、苦痛を感じてしまう問題が生じます。
では、どのような解決が望ましいのでしょうか。1つのアイデアとしてバスルーム利用者に「ドアがロックされていること」を警報を鳴らして知らせるシステムを導入することが考えられます。もちろん、このようなシステムを導入すれば、解錠忘れをなくすことが可能ですが、同時にバスルームを利用する宿泊客を不快にさせてしまう可能性があります。
そこで、L'Hotel Louis XIVのオーナーは、独創的なアイデアを採用することにしました。それは、ドアの鍵をなくす代わりに「2つのドアノブをフック付きのベルトで固定する」というものです。ベルトは両側のドアノブを固定できるギリギリの長さとなっているので、両側のドアノブにベルトを引っかけておけばどちらの部屋からもドアを開けることができません。
バスルームを使いたいと思って入室した宿泊客はまず、このベルトをドアノブに引っかけます。すると、利用中は外からドアを開けられない状態になるので不意の入室を防ぐことができます。そして利用後にバスルームから出る時にベルトを外すことで、両方のドアがどちらからでも空けられるようになり、鍵を使っていた時のようなトラブルは仕組み的に回避できるというわけです。
ネバラ・リー氏は「このケーススタディーは多くの人が心に留めておくべきである」と語っています。今回の例の場合、多くの人は「扉に鍵をつける」という最初に提示された答えから解決策を導こうとして、本当の答えにたどり着くのに時間がかかる傾向にあります。ネバラ・リー氏は「最初に提示されたドアロックについて考えるのではなく、根本的な問題である『片方の部屋を使用している人がトイレやお風呂を利用する時、どうやってもう片方の部屋の人が入室できないようにするか』に戻って考えることで早期の問題解決に至る可能性が高まる」と述べています。
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