「飛行機のエンジンに入り込み内部をスキャンするゴキブリ型ロボット」をロールス・ロイス・ホールディングスが開発予定
世界有数の航空用エンジン製造企業であるロールス・ロイス・ホールディングスが、「飛行機のエンジン内部に入り込み、ゴキブリのようにエンジンをはい回って状態をスキャンする小型ロボット」を開発することを発表しました。
ちなみに、ロールス・ロイス・ホールディングスは自動車メーカーのロールス・ロイス・モーター・カーズともともとは同じ企業ですが、1971年の経営破綻・国有化後、1973年に自動車部門がロールス・ロイス・モーター・カーズとして分離。残った部門も1987年に再民営化されているので、現在は独立した別企業です。
Our stories - SWARM robots –Rolls-Royce
https://www.rolls-royce.com/media/our-stories/insights/2018/swarm-robots.aspx
rolls-royce to build robot cockroach to crawl inside and fix airplane engines
https://www.designboom.com/technology/rolls-royce-robot-cockroach-airplane-engine-maintenance-repair-07-18-2018/
ロールス・ロイス・ホールディングスは2018年に行われたシンガポール航空ショーにおいて、航空産業の発達による航空機の利用者増に合わせてインテリジェント・エンジンという新たな航空機エンジンのビジョンを示しました。
インテリジェント・エンジンはデータの収集やAI技術を生かし、「サービスケアに特化した航空機エンジン」の開発を目指すというもの。ロールス・ロイスでは、エンジンのメンテナンス性や適応性を向上させるためにさまざまな取り組みを行っています。具体的には、「機体エンジンや制御機構、地上のカスタマーや整備士間でのリアルタイム情報共有」「エンジンに関連する機器類の状況を自動的に認識し、人の介入を待たずに自動で適応」「蓄積された記録やネットワーク上の別機体のエンジン記録などから、最適なパフォーマンスを発揮する」といった点を掲げているとのこと。
その一環として開発されるのが「SWARM robots」と名付けられた小型ロボットです。ハーバード大学の研究チームと共同して開発するこのロボットは、エンジニアが飛行機のエンジンを取り外すことなく内部の監視を可能にし、メンテナンス性を大幅に向上させるとしています。
SWARM robotsがどのようにエンジンをチェックするのかは、以下のムービーを見るとわかります。
Rolls-Royce | SWARM robots
飛行機のエンジンは非常に複雑な機構になっており、メンテナンスには多くの時間が必要です。
エンジン外壁に作った小さな穴が、メンテナンス用ロボットのSWARM robotsの入り口となります。
穴に付けられた小さなキャップを外し……
細いチューブを近づけます。
チューブは穴を通り……
スルスルとエンジンの奥深くまで入っていきます。
やがてチューブはエンジン内部の、SWARM robotsでスキャンしたい箇所まで到達。
すると、チューブの先から小さなロボットが出てきました。これがSWARM robotsです。
SWARM robotsは小さな脚を細かく動かし、スピードの遅いゴキブリのように壁をよじ登ったり、段差を降りたりしています。
取り付けられた小型カメラで内部の状況をスキャンし……
問題がないか入念にチェックします。
一度に複数のSWARM robotsが投入され、各自チェックする範囲を分担して効率よくスキャンしていきます。
スキャンの様子はリモートで確認可能で、エンジニアがエンジン内部に近寄ることなくチェックが可能。
スキャンが完了すると、SWARM robotsは自動でチューブの近くまで戻ってきて……
チューブの中に入ります。
全てのSWARM robotsを回収したら、チューブをスルスルと引っ張ればOK。
複雑な飛行機エンジンを安全に、手軽にスキャンできるロボットになっているようです。
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