世界のニュースサイトはサブスクリプション方式でどれぐらい稼いでいるのか
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新聞社のデジタル版で、読める記事の数や分量が限られていて、全記事・全文を読むために別途購読料の支払いが必要になるという「サブスクリプション方式」は一般的なものとなっています。このモデルで大手のニュースサイトはどれぐらい稼いでいるのか、FIPP(国際雑誌連合)が情報をまとめて公開しています。
Digital subscription revenue displacing digital advertising as a core revenue stream | News | FIPP.com
https://www.fipp.com/news/insightnews/digital-subscription-revenue-displacing-digital-advertising
FIPPによればこのモデルで最も購読者を集めているのは「ニューヨーク・タイムズ」で、その数は2018年第1四半期時点で280万人に上ります。購読料は8.66ドル(約970円)で、単純に掛け算をすると、購読料収入は1カ月あたり2424万ドル(約27億円)です。なお、購読料の部分はサイトによって「1週間ごと」「4週間ごと」「1カ月ごと」「半年ごと」「1年ごと」とプランが分かれているので、比較のために「ドル換算したときの月額」に換算してあるとのこと。
ニューヨーク・タイムズに次ぐ購読者数を誇るのが「ウォール・ストリート・ジャーナル」で、138万9000人(2017年第4四半期時点)。なお、購読料は36.99ドル(約4200円)なので、月収入は5137万9110ドル相当(約57億7300万円)とニューヨーク・タイムズを上回ります。
購読者数第3位は「ワシントン・ポスト」。購読者数は100万人(2017年第3四半期)、購読料は10.83ドル(約1200円)。
ここまで3つはアメリカのメディアですが、第4位にはイギリスの「フィナンシャル・タイムズ」が入りました。購読者数は72万人(2017年第4四半期)、購読料は36ドル(約4000円)。
第5位はドイツの「ビルト」。購読者数は39万498人(2018年第1四半期)、購読料は5.83ドル(約650円)。
このほか、FIPPの公開したレポートでは上記以外にスウェーデンの「Aftonbladet」、フランスの「ル・モンド」、ノルウェーの「ヴェルデンス・ガング」、ブラジルの「Folha de São Paulo」、ポーランドの「Gazeta Wyborcza」など、全45媒体の情報を見ることができます。
2018 Grobal Digital Subscription Snapshot
(PDFファイル)https://fipp.s3.amazonaws.com/media/documents/2018%20Digital%20Subscription%20Snapshot.pdf
このうち、ニューヨーク・タイムズは「デジタル版のみ」の購読者数が増加して総収入も増え、サブスクリプション方式で成功を収めている事例といえます。
また、「人口が多いから成功する」というわけではないところも特徴で、スカンジナビア三国はいずれも人口はそれほど多くはないのですが、多くの購読者を獲得しています。
傾向としては、消費者がコンテンツに対してお金を払う意欲がある市場では成功を収められるとみられています。具体的には、動画や音楽の配信サービスとしてNetflix、Spotify、Hulu、Amazonプライムがすでに成功している地域を指します。「デジタル購読」という形がまだ定着していない新興市場でも成功例が出始めています。
その一方で、コンテンツに対価を支払うということがまったく定着していない地域では、サブスクリプション方式を確立することはまだ困難だとのこと。ただ、市場の発展に伴って状況は変化していく可能性があります。
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