肉の断片が空から降り注いだ「ケンタッキー肉の雨事件」の真実とは?
by Angele J
ある日、空から突然赤身肉の断片が降ってきた……という「ケンタッキー肉の雨事件」は、当時、多くのメディアで報じられていたものの、長い間「未解決事件」として扱われてきました。このケンタッキー肉の雨事件の原因の有力な仮説を、海外ニュースメディアのMotherboardが記しています。
The Mystery of the Kentucky 'Meat Shower' - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/kzkmgw/the-mystery-of-the-kentucky-meat-shower
1876年3月のまだ肌寒い日に、アメリカ・ケンタッキー州で突如として「肉の雨」が降りました。91×46メートル四方の範囲に5センチメートル四方ほどの赤身肉の断片が降ってきたこの事件は、「ケンタッキー肉の雨事件」と呼ばれています。
トランシルヴァニア大学の美術教授であるKurt Gohde氏は、ケンタッキー州に引っ越してから肉の雨事件について知り、興味をそそられました。そして大学の資料を調べているうちに、小さな瓶を写した1枚の写真と出会います。瓶の中に琥珀(こはく)色の液体とともに入っていたのは、小さな肉片でした。Gohde氏は肉の雨事件が起こった日付と瓶に書かれた日付から、それが空から降ってきた「肉の雨」の一かけらだということに気づきます。
肉の雨事件が起こった当時、多くの人が謎解きを行い、中には空から降ってきた肉の断片を食べてみた人もいたそうです。そして、羊や熊、鹿などが肉の正体だと推測されました。
しかし、結局のところ何の肉なのかがはっきりしなかったことから、肉のサンプルはGohde氏の勤め先であるトランシルヴァニア大学を含めたアメリカ中の科学者らに送られました。肉の断片は科学者の元で保存されることになりましたが、その肉が何であるのかという仮説が発表される前に、人々は「肉の雨事件」に関心を示さなくなってしまったとのこと。実際には科学者らは「答え」を導いていたのですが、Gohde氏が調べるまで、肉の雨の説明は見過ごされていたそうです。
そんな科学者たちが導いた答えは「ハゲワシのおう吐物」というもの。
ハゲワシの胃の中は超酸の状態にあるため、通常、ハゲワシが気分を悪くしておう吐を行うことはありません。部分的に腐った肉であっても基本的には全て消化してしまいます。しかし、次の獲物をいつ捕らえられるかわからないハゲワシは、一度に可能な限り食べ物をお腹に詰め込もうとします。そのため、食事後はしばらくじっとして消化を待つ必要があるのですが、何らかの理由で食後すぐに飛び立つ必要がある場合もあります。そんな時は、自分の体重を軽くするため、飛行時に食べた肉を空中ではき出すそうです。
by Sebastian Wallroth
野生動物保護協会の副会長であるJoe Walston氏は、この仮説について「正しい可能性が高い」と述べています。また、発見された肉の状態や組織からも、「ハゲワシの食事内容として理にかなっている」とのこと。肉の断片はサイズがばらばらで、引き裂かれており、肉のスライサーを通したような状態ではありませんでした。また、顕微鏡で確認した科学者は、それが肺と軟骨の組織であったことを発表しています。
「最もぞっとすることは、多くの人が何の肉かを判断するためにハゲワシの吐しゃ物を食べたということです」とMotherboardは記しています。
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