生き物

世界で最も小さな砂漠と呼ばれ次々に新種生物が見つかっている「カークロス・デザート」とは?


カナダにあるカークロス・デザートは、面積が約2.6平方キロメートルと小さく、世界で最も小さな砂漠と呼ばれています。カークロス・デザートには珍しい有蹄類(ゆうているい)や昆虫、希少な植物が生息しており、専門家によると近年でも新しい種が発見されているとのことです。

BBC - Travel - The unlikely home of the world’s smallest desert
http://www.bbc.com/travel/story/20180621-the-unlikely-home-of-the-worlds-smallest-desert

人口301人のカークロス村は約4500年ほど前に設立されましたが、人々からの認知度は低く、別の場所に行くための経由地としての知名度しかなかったそうです。しかし、近年はカークロス・デザートが観光向けに開発されたこともあり、夏にはサンドボードや4輪バイク、ハイキングなどが楽しめるほか、雪が積もると、スキーヤーやスノーボーダーたちが、ウインタースポーツを目的にやってくるようになりました。


今や夏と冬で異なる顔を持つカークロス・デザートですが、ユーコン地質調査所に務める地表地質学者のパンヤ・リポスキー氏は「約2万4000年前~約1万1000年前のウィスコンシン氷期にはカークロスは1kmの厚さの氷に覆われていました」と語っています。

リポスキー氏は「気温の上昇により氷が溶けることで大きな谷が作られ、巨大な湖が形成されました。その後も気温の上昇と共にさらに氷が溶け、水位が低下していくと、近隣のベネット湖やその他の地域とつながり、水が流れ込むことでカークロス一帯が陸地に変化しました。そして、ベネット湖の浜辺の砂が風に乗ってカークロスに吹きつけることでカークロス・デザートが誕生したのです」と、カークロス・デザートが誕生した経緯について説明しています。


同氏は「現在も近くのベネット湖からカークロス・デザートに向かって風が吹き続けています」と語っており、湖が乾燥した結果生まれたと考えられがちなカークロス・デザートですが、実際には氷河、水、風の組みあわせによって形成された特殊な砂漠であるとのことです

カークロス・デザートは気候にも特徴があり、リポスキー氏は「カークロスは雨陰によって乾燥し、年間250mm~500mmの降水量しかないステップ気候となっています。砂漠気候ではないため、砂は水分を含んでいるのですが、植生が復活することはありません。なぜなら、ベネット湖の砂が常に風で吹きつけられている状態となっているからであり、カークロス・デザートは砂漠の状態が常に維持されるシステムとなっているのです」と説明しています。


このような特殊な環境であるためか、カークロス・デザートの生態系も特殊なものになっています。カークロス・デザートには、野性のドールシープシロイワヤギの生息地になっている他、幽霊のようなシルエットの柳やトウヒ、そして夏にはユーコンルピナスやBaikal Sedgeが花を咲かせ、まれにCoast Dart Mothのような珍しい種が空を舞っている姿を見ることができます。近年はガの新種が5つ確認されており、今後ももっと新しい種が見つかる可能性があると、研究者たちにも注目されています。

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in 生き物, Posted by darkhorse_log

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