脂肪と炭水化物の組み合わせが人間を引きつけるのは脳の報酬系を刺激するため

by Eugene Peretz

チーズやベーコンがたっぷりのせられたピザ、肉厚なパティにとろりとしたチーズを挟んだハンバーガーなど、「脂肪+炭水化物」の組み合わせは人間の食欲をそそってきます。そんな「脂肪と炭水化物の組み合わせに人間が魅力を感じるのは、脳の報酬系に関連がある」という研究結果が報告されています。

Supra-Additive Effects of Combining Fat and Carbohydrate on Food Reward: Cell Metabolism
https://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(18)30325-5

Combining fat and carbs overloads the brain and makes us overeat
https://www.nbcnews.com/health/health-news/combining-fat-carbs-overloads-brain-makes-us-overeat-n883201

イェール大学の現代ダイエット・生理学研究センター長であるダナ・スモール教授の研究チームは、206人の被験者に対して標準的な朝食を与えた後に5ユーロ(約650円)を渡し、5ユーロを元手にコンピューター相手の「スナックオークション」に参加させました。被験者はコンピューターの画面に表示されるスナックに対して元手の5ユーロから好きな金額で入札し、コンピューターに勝利したらチーズやお菓子といった本物のスナックと、5ユーロから入札額を引いた残りの金額を手に入れ、コンピューターに負けたらスナックは手に入らないものの5ユーロはそのまま、というタスクを実行したとのこと。

スナックの種類としては固形チーズなどの「主に脂肪でできているもの」や、「主に炭水化物(糖質を含む)」である白パンやキャンディーといったもの、「脂肪と炭水化物の両方」からなるチョコレートクッキーなど、合計で39種類が用意されました。その結果、入札額は事前のアンケートで被験者が回答した「好きな食べ物」に関わらず、「脂肪と炭水化物の両方」からなるスナックに対して多くの入札額を支払う傾向にあることがわかりました。

by Jennifer Pallian

研究チームは被験者にオークションを行わせると同時に被験者の脳波をスキャンして、スナックへ入札する時にいったいどの脳領域が活発になるのかを調査。すると、線条体視床の背側中腹部といった報酬系に関わる部分が入札時に最も活性化しており、食事を評価する際には脳の報酬系が大きく関与していることが示唆されています。

また、被験者にはスナックを見た時に「そのスナックがどれほどのカロリーを持っているのか?」ということを見積もってもらい、人間がどれほど食品のカロリーを見た目から判断できるのかも調べました。その結果、被験者は「ほとんど脂肪」の食品はほぼ正確にカロリーを見積もれたものの、「ほとんど炭水化物」や「脂肪と炭水化物の両方」の食品については、全く見当外れなカロリーを見積もったそうです。


スモール氏は現代人の食事について、「ドーナツやハンバーガーなどの脂肪と炭水化物が両方とも豊富に含まれている食品は、自然界にはほとんど存在していません」と述べ、穀物や野菜に果物、そして獣や魚の肉で食事の多くをまかなっていた時代とは大きく変化しているとしています。脂肪と炭水化物の組み合わせは脳の報酬メカニズムを過剰に刺激し、薬物の乱用などと同じようについつい食べ過ぎてしまう可能性があるそうです。

人間がなぜか大量のカロリーを摂取してしまう背景には、人間が脂肪と炭水化物を含んだ食事に魅力を感じてしまい、そういった食事による摂取カロリーを低く見積もってしまう可能性があるとのこと。「人間が脂肪と炭水化物の組み合わせにひきつけられてしまうのは意識的な反応ではなく、無意識の反応によるものです」とスモール氏は話し、近代的な脂肪と炭水化物を多量に含んだ食品は、「脳の回路を欺くかもしれない」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
肥満が原因で発症する変形性関節症は体重増加ではなく高脂肪の食事が原因 - GIGAZINE

バクテリアはどれだけあなたの体を支配しているのか? - GIGAZINE

グルテンフリーな食生活は本当に健康的なのか? - GIGAZINE

ダイエットには糖質制限や脂質制限は関係なく、DNA検査もほとんど意味がないという研究結果が判明 - GIGAZINE

脳に電気刺激を与えることで過食症を防げる可能性が示される - GIGAZINE

in サイエンス,   , Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.