イラストレーター・漫画家として活躍する安倍吉俊が仕事や絵を語るインタビュー映像公開中
「NieA_7」「リューシカ・リューシカ」といった漫画や、アニメ「serial experiments lain」のキャラクターデザイン、「灰羽連盟」では原作・キャラクター原案・シリーズ構成を担当するなど、多彩に活躍している安倍𠮷俊さんが自らの仕事や「絵」のことなどを語るインタビュー映像が公開されています。
toco toco - Yoshitoshi ABe, Illustrator - YouTube
肩書を「イラストレーター、漫画家、キャラクターデザイナー、脚本家、大学講師」と名乗った安倍さん。
安倍さんが江戸東京たてもの園で写真撮影をする様子をバックに、語りが入ります。
使用しているカメラは。「古いものの汚れ、さび、ザラザラしたテクスチャの描写に極端優れ、他にはとても弱い」というシグマ製のちょっと古いもの。ただ、絵は対象物を観察した上で頭の中で動かして構図を組み画面を作るのに対して、写真は対象物を動かさずに自分が動いて画面を作るため、写真はヘタだそうです。
ノイズのように挿入されたのは「serial experiments lain」の一コマ
お父さんが囲碁棋士の家庭で育った安倍さんは、子どものころ漫画やテレビを禁止されていたそうです。高校卒業後、ちょうど知り合いが新人賞を取ったのでそのアシスタントに入ったのですが、絵の心得がなく、美術系の予備校でデッサンをするように。やがて自ら漫画を描くようになり、アフタヌーンの四季賞で「準入選」。
周囲に恵まれていたという安倍さんは、まだ日本でインターネットが普及する以前、ネットに詳しい知り合いに「ウェブ上にサイトを作って絵を置きみんなに見てもらおう」といわれて絵をアップ。それを見て連絡してきたのが上田耕行プロデューサーだったそうです。ここから生まれたのが「serial experiments lain」です。
当初はアニメ企画の話ではなく、PlayStationでゲームを作るという話でした。キャラクターデザインを依頼された安倍さんですが、なにしろやったことがない仕事だったため、企画書を読んで「この子はこういうことをするのではないか」というようなイラストをたくさん描いて持っていったとのこと。
キャラクターデザインというと見た目や服装を設定する仕事なので、ややズレたものだったわけですが、上田プロデューサーやシナリオ担当の小中千昭さんは面白がってくれたそうで、安倍さんは「これで道が開けた」と語っています。
ロケ地が深大寺と神代植物公園へ移動。安倍さんは植物には興味がなく花の名前もろくに知らなかったのですが、写真を撮るようになり、どの季節にはどの花が咲くなどの知識を得たそうです。
次の作品は「NieA_7」。もともとは安倍さんの同人誌に登場したキャラクターに上田プロデューサーが興味を持ち、アイデアを膨らませてアニメ化となったものだそうで、安倍さんは漫画版を担当。
「灰羽連盟」も、安倍さんの同人誌を読んだ上田プロデューサーが「これ面白そうだからアニメにしよう」と言ったことでアニメになったそうです。灰羽連盟では、安倍さんは原作・キャラクター原案だけではなく、シリーズ構成と脚本も担当しています。
ガンガンONLINEで連載していた漫画「リューシカ・リューシカ」は、子どものころに見た景色が記憶から消えそうだったので、それを残しておこうと思って描いた作品。
2018年現在、「こどものグルメ」という漫画の作画を担当しています。この作品は、「孤独のグルメ」の久住昌之さんが原作。
また、アニメ「RErideD-刻越えのデリダ-」も手がけています。現在、作品は作画作業に入っているとのこと。
安倍さんは文章を読むと、描かれている情景が「夢」のように頭の中に浮かぶそうです。絵柄は自分のものだったり、全く違う誰かだったり、あるいは実写のこともあって、これを覚えておきスケッチするので、「作る」というより「思い出す」なのだそうです。
自身の絵を「形が歪みがち」で「デッサンが整って上手というタイプではない」と語る安倍さん。、その理由は、前述のように夢のように浮かんだ情景を描くために、情景が歪んでいると描くものも歪むから。
終盤で安倍さんが語った「成功すると満足感が手に入り、失敗すると経験値が手に入る」という言葉は、なにかに挑戦するときには心に刻んでおきたい言葉です。
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