セキュリティ

サッカーリーグが「リーグ戦の不正な上映」を防ぐためにAndroid端末からデータを取得していた

by Hamza Butt

スペインのプロサッカーリーグであるリーガ・エスパニョーラは、「許可されていない場所でのリーグ戦放送」を阻止するために公式のストリーミングアプリをインストールしたAndroid端末から、ユーザーのオーディオデータや位置情報を取得していることを明らかにしました。

Spanish football league defends phone 'spying' - BBC News
https://www.bbc.com/news/technology-44453382

Nota informativa | Noticias | Liga de Fútbol Profesional 2018
http://www.laliga.es/noticias/nota-informativa-138

今回リーガ・エスパニョーラが「オーディオデータや位置情報データを入手している」と明かしたのは、Google Playからインストール可能なLa Liga - App Oficialという、リーガ・エスパニョーラの公式アプリ。全世界で1000万以上もダウンロードされているというこのAndroid用アプリでは、リーガ・エスパニョーラのリーグ戦が無料で見られる他、詳細な試合結果やスケジュールなどが確認できます。


そんな公式アプリについてリーガ・エスパニョーラは2018年6月11日、「2018年6月8日からAndroid端末のマイクとGPSにアクセスし、オーディオデータと位置情報を取得している」ことを公式サイトで公表しました。リーガ・エスパニョーラの説明によれば、今回の新機能実装は「リーグ戦の不正な放送を行う詐欺を防ぐため」だとしており、ユーザーの個人情報を収集することが目的ではないとしています。

他の国のリーグと同様に、リーガ・エスパニョーラのリーグ戦をレストランやバーといった公共の場で上映する場合には、有料のライセンスが必要です。ところが、この公式アプリを使って公共の場でリーグ戦を上映するケースが存在することが明らかになっていました。このような形でライセンスを持たずに勝手にリーグ戦を上映することでリーグが被る損失は、実に年間1億5000万ユーロ(約190億円)もの額になると試算されているそうです。

リーガ・エスパニョーラはオーディオデータを断片的なシグナルデータとしてのみ受信し、どの試合をアプリが放送しているのかを照合することで、位置情報と組み合わせて「不正なリーグ戦放送を行う施設」の特定を行うとのこと。アプリのデータ取得はリーグ戦試合が開始した時点で有効になり、常時ユーザーのマイクを有効にしているわけではないそうで、「アプリをインストールする時にユーザーの許可も取っている」とリーガ・エスパニョーラは説明しています。

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今回の発表はEUで発行した新データ保護規則「GDPR」によって公表されたものであり、ユーザーはAndroid端末の設定からマイクへやGPSへアクセスすることに対する同意を取り消すことが可能。リーガ・エスパニョーラは「不正行為が確認されなければ、ユーザーのデータは即座に消去されます」と説明していますが、インターネット上では「リーガ・エスパニョーラがユーザーをこっそり監視している」などの批判の声が挙がっています。

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in モバイル,   ソフトウェア,   セキュリティ, Posted by log1h_ik

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