地方紙は自治体の監視役を果たしているという研究結果
by Nathan Anderson
あまり大きなニュースにはなりませんが雑誌が休刊・廃刊になるのと同じように、新聞も休刊・廃刊することがあり、日本でもここ10年で20紙以上が休・廃刊しています。この事情はアメリカでも同様で、そのことが気になった研究者が調べたところ、地方紙がなくなると監視の目がなくなり地方自治体の財政に影響が出ていることが分かりました。
Financing Dies in Darkness? The Impact of Newspaper Closures on Public Finance by Pengjie Gao, Chang Lee, Dermot Murphy :: SSRN
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3175555
Cost of government rises when local newspaper closes, study finds | Media | The Guardian
https://www.theguardian.com/media/2018/jun/10/cost-of-government-rises-when-local-newspaper-closes-study-finds
研究を行ったのはノートルダム大学で経済学を担当しているPengjie Gao准教授ら。2014年にコメディ番組「ジョン・オリバーのラストウィーク・トゥナイト」の中で言及された「地方紙の減少」に着想を得たものだとのこと。
研究チームは1996年から2015年までにアメリカの1266の郡部で発行された約1600の地方紙を調べました。
一例が、2009年に廃刊となったデンバーの「ロッキーマウンテンニューズ」です。この新聞では、保安官部門に割り付けられていた「疑わしい」フェデラル・ファンドの会計監査問題や「握手取引」(証拠となる書類を残さないと拘束力を持たない取引)を取り上げていました。Gao准教授は、調査によってロッキーマウンテンニューズ廃刊後に地方債の発行が増加していたことを把握し、当該紙は監視役としての役割を果たしていたと結論付けました。
同様の事例は、2007年に廃刊となった「シンシナティ・ポスト」でもみられたとのこと。
なお、Gao准教授によれば、この研究は統計学的に分析したものではなく、世に問うことを目的としたものだとのこと。全国紙ではなくても監視の役目を果たせているとはいえ、地方紙もタダで作れるわけではないので、経営を成り立たせるだけの基盤が必要であり、どう維持していくのかというのが問われることになります。
・関連記事
有料の新聞や雑誌の記事をバラ売りで1記事だけでも購入できる画期的な新サービス「Blendle」が本格的に進出、読了後の返品も可能 - GIGAZINE
3.11の話題が新聞の一面から次第に消えていくのを見える化してみた - GIGAZINE
新聞とニュースサイトに見るフロントページ進化の歴史 - GIGAZINE
朝日新聞東京本社を見学してきました~屋上ヘリポート編~ - GIGAZINE
朝日新聞東京本社を見学してきました~まさに技術の結晶、超高速カラー新聞輪転機編~ - GIGAZINE
朝日新聞東京本社を見学してきました~巨大撮影スタジオ編~ - GIGAZINE
朝日新聞東京本社を見学してきました~喫茶アラスカ&コリント朝日店編~ - GIGAZINE
・関連コンテンツ