iOS 12ではパスワードの自動入力機能がサードパーティー製のパスワードマネージャーもサポート
by Paul Hanaoka
AppleはSafariなどでパスワードを自動入力する機能を提供していますが、この自動入力機能で使えるID・パスワードのセットは、iCloud キーチェーンに保存されているデータのみとなっています。1PasswordやLastPassなどのサードパーティー製パスワードマネージャーを利用しているユーザーの中には、Apple純正のパスワード自動入力機能でパスワードマネージャーアプリに保存されているデータが利用できない点に不満を覚えていた人も少なくないはずですが、発表されたばかりの「iOS 12」ではサードパーティー製のパスワードマネージャーに保存されたデータも利用可能となるようです。
Password AutoFill in iOS 12 will work with third-party password managers | TechCrunch
https://techcrunch.com/2018/06/05/password-autofill-in-ios-12-will-work-with-third-party-password-managers/
インターネット上には無数のサービスが存在しており、これらを安全に使うにはそれぞれのパスワードを変えながら管理する必要があります。異なるパスワードを複数覚えておくというのはつらいものですが、そんな時に役立つのがパスワードマネージャーアプリで、覚えにくいパスワードを設定しても簡単にサービスへのログインが可能となります。
多くのスマートフォンユーザーが使用しているパスワードマネージャーアプリですが、AppleのiOS端末での利用はかなり面倒なものとなっていました。iCloud キーチェーンに対応しているSafariやFacebookといったごく一部のアプリの場合、ログインページにアクセスしてパスワードを入力しようとするとパスワードが自動で入力される一方で、iCloud キーチェーンに対応していないアプリではパスワードマネージャーを開いてパスワードをコピーし、ログインするサービスやアプリを開いて該当部分にペーストする必要がありました。
しかし、iOS 12ではサードパーティー製のパスワードマネージャーのデータも自動入力で利用可能となるため、例えばiCloud キーチェーンにはアカウント情報を保存していなくても、1Passwordに保存されていれば自動入力が可能となります。パスワードマネージャーアプリの1PasswordはiOS 12で自動入力機能の拡張をTwitter上で歓迎しており、「今年のWWDCはなんて素晴らしいプレゼントなんだ!素晴らしい新APIをありがとう、Appleの友人たちよ」とツイートし、1Passwordに保存されているアカウント情報で自動入力を行う様子をムービーで公開しています。
What a wonderful present for us at WWDC this year! Thank you to all our friends at Apple for this great new API. #1PasswordAutofill pic.twitter.com/jpvRVogslS
— 1Password (@1Password) 2018年6月5日
ムービーでパスワードが自動入力される前、キーボード上部の赤枠部分には「1Password」と表示されており、サードパーティー製のパスワードマネージャーである1Passwordに保存されているアカウント情報を使ってログインしていることがわかります。また、iCloud キーチェーンとサードパーティー製パスワードマネージャーの両方にアカウント情報が保存されている場合、ユーザーはどちらの情報を使用するか選択できるようになる模様。
なお、1PasswordはiOS 11でiCloud キーチェーンからSafariや他アプリにアカウント情報を入力する機能が追加された際に、すぐにAppleに連絡を取り1Passwordでも同様のことができるか問い合わせたそうです。その後、1Passwordとパスワード自動入力機能を統合するためのモックアップをいくつも提示し続けてきたそうで、そういった努力がiOS 12では形となったというわけです。なお、Apple側にパスワード自動入力機能の拡張を強く訴えてきたのは1Passwordだけではなく、DashlaneやLastPassも同様の要求を続けてきたそうです。
iOS 12のリリースは2018年秋頃を予定されているので、秋以降はiOS端末でのログイン作業が劇的にはかどるようになるかもしれません。
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