サイエンス

教科書から「進化論」が消えようとしている、原因は「聖書に矛盾するから」


アメリカ・アリゾナ州で教育指針が見直されて、教科書から「進化論」に関する記述が消えようとしています。原因には、進化論に矛盾する聖書の存在があるようです。

Arizona state education standards see evolution deleted | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2018/05/arizona-official-waters-down-states-science-education-standards/

アメリカでは州ごとに独自の教育を認める教育制度が採られており、授業でどの教科書を使うかの決定権は州に与えられています。そのため「地域性」が教科書の内容にも反映されることがあるそうです。

アリゾナ州では新たな教育指針がダイアン・ダグラス教育長によって打ち出され、この指針に従う形で30人の教育者によって教科書内容の見直しが行われました。その結果、従来の教科書に載せられていた「進化論」に関する記述は削除され、「evolution(進化)」が「change over time(経時変化)」に置き換わるなど表現自体も変更されました。

by Gage Skidmore

教科書の内容にも反映される「教育基準」の変更は文言レベルにとどまらないようで、例えば「Gather and communicate evidence on how the process of natural selection provides an explanation of how new species can evolve.(自然選択によって新しい種が進化することを示す証拠を集めて伝える)」という教育目標は、「(providing evidence on) the processes by which a species may change over time in response to environmental conditions.(長い年月をかけた環境変化によって種に起こるかもしれない変化に関する証拠を与える)」という内容に変更されるなど、教育を受けた生徒の進化の過程に対する科学的な理解に影響を与えかねないものになっています。


進化論を除外する教育基準が作られた原因は、ダグラス教育長や教科書の作成にかかわった教育者の多くがキリスト教「福音派」に属することにあるとのこと。聖書に忠実であろうとする信仰心を持つ福音派の人にとって、「神が生物を創造した」という聖書の内容に矛盾する進化論は受け入れられないものであり、この宗教観が教育レベルで反映されたのが今回の問題だというわけです。


他人の信仰心を尊重するという価値観はもちろん大切ですが、科学的な知識と矛盾する場面でも宗教的な考えを優先させるべきかどうかは、大きな議論のあるところです。なお、なるべくアメリカ全土で多くの教科書を販売したい出版社にとって、例えばカリフォルニア州やテキサス州などの規模の大きな州の教科書の基準は非常に大きな問題ととらえられるのに対して、規模の小さなアリゾナ州の教科書の内容は、それほど注目されないという現実があるそうです。

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