テレビ放送をジャックして宇宙人からのメッセージを届けた「Vrillon」とは?
By Johnny Micheletto
テレビの回線をハッキングして乗っ取る「電波ジャック」という言葉は、地上デジタルテレビ放送が完全実施となってから聞くことがまるでなくなりました。電波ジャック事例としてはアメリカのシカゴで起きたマックス・ヘッドルーム事件が有名ですが、南東イングランドで発生したVrillonのメッセージもまた、事件から40年たった今でも謎に包まれています。
Vrillon: the alien voice hoax that became a legend | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/long_reads/vrillon-hacking-alien-voice-seventies-extra-terrestrial-hoax-unexplained-mysteries-a8069926.html
1977年11月26日、人々が普段通りに過ごしていた何の変哲もない土曜日の夕方5時。「Southern TV」のニュースアンカーが当日のトピックを読み上げていたその時、映像は乱れ音声は徐々に小さくなり、ブラックアウトしたテレビ画面に奇妙なメッセージが表示されました。
Original Vrillon message from 1977
ニュースアンカーの男性が原稿を読み上げています。何の変哲も無いテレビニュースの時間でしたが……
突如、映像がグニャグニャとゆがみ、ニュースの音声も徐々に小さくなっていきます。これだけならアナログ放送の不具合としてありえないほどではないので、多くの視聴者が「電波障害かな?」と思ったはず。
しかし次の瞬間にテレビに映し出されたのは、ブラックアウトした背景に浮かび上がるメッセージでした。「This is the voice of Vrillion」から始まるメッセージは、地球外生命体の一団といわれるAshtar Galactic Command(アシュタル・ギャラクティックコマンド)の代表と名乗っています。
このメッセージは約5分間続き、最後にカートゥーンアニメの映像が流れて終わります。このメッセージの内容はいたってシンプルなものでした。「人類は戦争に頼るやり方を改め、平和な在り方を尊重しなくてはならない――手遅れになる前に」
これはもちろんイタズラでした。ただ、たちの悪いイタズラにしては洗練されていたのも事実です。アナログ放送で現代よりはセキュリティが強くないとはいえ、当時のテレビネットワークにハッキングすることは一朝一夕で行えるものではありません。そして奇妙なことに、この電波ジャックを行った犯人は名乗り出ることも特定されることもなく、この出来事は謎に包まれたままです。
Vrillonのメッセージから十年後、最も有名な電波ジャック「マックス・ヘッドルーム事件」がアメリカで起こりました。このマックス・ヘッドルーム事件で流れた映像は明らかにイタズラであるとわかるふざけたものであったのに対し、Vrillonのメッセージは真に迫ったものだと都市伝説の研究者が指摘しています。
このVrillonのメッセージからちょうど40年後に書かれた記事では、「Vrillonがメッセージを送ってきたころ、イギリスはEUに加盟した。40年たった今、私たちはそこから脱退している。間違いなく、当時より悪い状況にいる」とし、「Vrillonが再びやってくる」と警鐘を鳴らしています。
By marco paiola
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