丸3日インターネット接続できなくなるレベルの大規模ネットワーク障害が発生、そこから見える問題点とは?
by U.S. Pacific Fleet
ヨーロッパの西部とアフリカ西岸を回る海底通信ケーブルシステムがACE(African Coast to Europe)です。2018年3月30日にACEケーブルの一部が損傷し、アフリカ西側諸国に大規模なネットワーク障害が発生しました。今回のネットワーク障害からアフリカのインターネット接続状況の問題点が見て取れるとDNSサービスのOracle+Dynが指摘しています。
ACE Submarine Cable Cut Impacts Ten Countries | Dyn Blog
https://dyn.com/blog/ace-submarine-cable-cut-impacts-ten-countries/
フランスから南アフリカまでを接続するACEは1万7000kmを超える長さを誇り、最大5.12Tbpsの通信が可能で、19の電気通信事業者・団体によって2012年12月から運用されてきました。以下の地図で、オレンジ色で描かれる線がACEケーブルです。
2018年3月30日、ACEからケーブルを引き入れている22カ国のうち10カ国に大規模なネットワーク障害が発生しました。以下のツイートでは、「モーリタニアの首都ヌアクショット付近でケーブルが損傷したために障害が起こった」と言及されています。
The Sierra Leone Cable Limited (SALCAB) says the data connection to #SierraLeone is partly down due to the ACE Submarine cable cut in Nouakchott, Mauritania. #SierraLeoneDecides
— Leanne de Bassompierre (@leannedb01) 2018年4月1日
以下の図はACE以外の海底ケーブルシステムを利用していないシエラレオネ・モーリタニア・リベリア・ギニアビサウ・ギニア・ガンビアの接続状態を表したグラフです。シエラレオネ(上段左)のグラフを見てみると、3月30日に障害が起こってから少しずつ回復するも、4月1日で完全にネットワークが途絶えてしまっている状態が確認できます。また、損傷部分に最も近いとされているモーリタニア(上段右)では、3月30日からおよそ3日にわたって回線がほぼストップしてしまっています。一方で、リベリア・ギニアビサウ・ギニア・ガンビアは、シエラレオネやモーリタニアと比べるとケーブル損傷の影響は小さく済んでいます。これはACEに大きく依存しているシエラレオネやモーリタニアに比べ、他の4か国では海底ケーブル以外に地上のケーブルや衛星通信も利用しているためです。
ベナンはACE以外にもSAT-3/WASC(South Atlantic 3/West Africa Submarine Cable)という海底ケーブルシステムからもネットワークを確保しており、同時に地上・衛星での通信も行っているため、国内のネットワークで影響を受けたものは全体の1/10以下という比較的小さい規模で済みました。
Oracle+Dynのインターネット調査・分析担当のデヴィッド・ベルソン氏は、今回のネットワーク障害から「各国がどれだけACEに依存しているのか」が浮き彫りになると指摘しています。今回の海底ケーブル損傷のようなケースで生じる影響を少なくするために、アフリカの西側諸国にあるインターネットサービスプロバイダーは海底ケーブルに依存するのではなく、国間での地上ケーブルによるネットワークや衛星通信も利用して国際的な冗長性を持たせるべきだと主張しています。
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