ハードウェア

37億円の援助を受け3Dプリンターでロケットを製造する企業「Relativity Space」が登場、既にブースターは完成


3Dプリンター技術の進歩はめざましく、ロケットのエンジン家まるごとを3Dプリンターで低コストかつ短時間で製造できるようになりました。そんな中、パーツのほぼ全てを3Dプリンターで製造したロケットの打ち上げを目指すアメリカのスタートアップ「Relativity Space」が、およそ3500万ドル(約37億円)の資金提供を受けながらブースターを完成させました。

That 3D-printed rocket company just got $35 million in private financing | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2018/03/that-3d-printed-rocket-company-just-got-35-million-in-private-financing/


Relativity Spaceが開発している液体ロケットブースター「Aeon 1」はこんな感じ。


Aeon 1はおよそ100個の部品で構成されていて、そのほとんどが、Relativity Spaceが独自に開発した3Dプリンター「Stargate」での出力が可能な合金で製造されています。


開発中のエンジンは液体酸素と液化天然ガスを推進剤とするLNG推進系、真空での推力はおよそ86.7キロニュートン、比推力は360秒とのこと。Aeon 1は既に100回の点火テストをクリアしているそうで、実際にAeon 1に点火している様子は以下のムービーから確認できます。

AEON1_Stennis_4k on Vimeo


このAeon 1は、Relativity Spaceが製造しているロケット「Terran 1」に計10基搭載される予定です。他にも3Dプリンター技術を利用してロケットエンジンを製造する企業は存在しますが、Relativity Spaceはロケットのほぼすべてを3Dプリンターで製造する初めての企業であるとのことです。

Relativity SpaceはTerran 1を市場に投入するため、Playground Grobalなどのベンチャーキャピタルから約37億円の出資を集めたそうですが、Relativity Spaceの共同創設者であるティム・エリス氏は「合理的なスケジュールで受注を行えるようにするために、さらに10億ドル(約1100億円)以上の資金を既に確保しています」と述べています。さらに、Relativity Spaceは、ミシシッピ州南部にあるジョン・C・ステニス宇宙センターにあるテスト施設を20年間利用できる契約を既にNASAと締結しています。

Terran 1で低軌道に1250kgの衛星を打ち上げると、1回でおよそ1000万ドル(約11億円)の費用がかかるとのこと。SpaceXのFalcon 9は1回の打ち上げ価格が6200万ドル(約66億円)であることを考えると、3Dプリンターを駆使することでFalcon 9のおよそ6分の1という低コストを実現しているといえます。また、本来であればロケットの設計から実際に飛ばすまでおよそ1~2年かかるところを、わずか8カ月という短期間での製造が可能とのことです。

なお、Relativity Spaceは2021年にTerran 1の商用打ち上げを開始するという目標を掲げていて、まずは2020年後半にテスト飛行を予定しているそうです。

・関連記事
エンジンを3Dプリンターで出力した小型・軽量ロケットの打ち上げ試験に民間ロケット会社「Rocket Lab」が成功 - GIGAZINE

3Dプリンターで作られた「家」が発展途上国の家不足を救うかもしれない - GIGAZINE

NASAはなぜSpaceXの低コストなロケットを使わずに「SLS」の独自開発に莫大な費用を投じるのか? - GIGAZINE

アメリカ海兵隊は「3Dプリンター」に夢中になっている - GIGAZINE

3Dプリンターで古い「旧車」の部品を出力して供給することをポルシェが発表 - GIGAZINE

宇宙ステーションで足りない工具を地上からデータ送信し3Dプリンター経由で送り込むことにNASAが成功 - GIGAZINE

in ハードウェア,   乗り物, Posted by log1i_yk