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イーロン・マスクのSpaceXはどのように人類を火星に運ぼうとしているのかをムービーで解説


イーロン・マスクCEOが率いるSpaceXは、火星に人類を移住させることを目標に、再利用可能なロケット「Falcon 9」を開発中です。Flacon 9やより大型の「Flacon Heavy」などのロケットによって、火星への移送コストを劇的に下げつつあるSpaceXの画期的なロケット打ち上げ方法について解説するムービー「How Will SpaceX Get Us To Mars?」が公開されています。

How Will SpaceX Get Us To Mars? - YouTube


宇宙はどうなっているのか、また地球は宇宙の中でどのような場所にあるのかなど、古くから数々の疑問が科学者によって探求されてきました。


地球に最も近くの星である月も研究対象の一つ。


1969年にアポロ11号によって月面着陸が実現し、その後12人の宇宙飛行士が月に降り立ちました。


宇宙探索の技術が戦争で悪用されることもありましたが、人類の技術の進歩によって、より宇宙が身近な存在になっています。


そして、次なるターゲットは地球に似た環境の火星。


火星への有人探査では数多くのプロジェクトが立ち上がっています。


近年、その最有力候補に名乗りを上げたのが、イーロン・マスクCEOが率いるSpaceX。


では、SpaceXはどのようにして火星への有人探査を実現するのでしょうか?


火星へ人類を送り届けるプロジェクトにはとてつもない費用が必要です。このままでは、火星に行きたい人の中でも、火星への費用を捻出できる人はごく一部の金持ちにとどまるはず。


SpaceXは、火星への移送費用を大きく下げることによって、火星に行こうと思えば行ける人を増やす計画です。


火星へ最も低エネルギーで行く理論である「ホーマン・メソッド」は、ヴァルター・ホーマンによって1925年に考案されました。


地球が最も太陽に近づくときに、太陽を頂点とした時の地球と火星の角度は44.4度。この位置関係では地球と火星との距離自体は最短ではありませんが……


このときに地球を出発すれば、地球も火星も太陽の周りを公転しているおかげで、火星へ最小のエネルギーで到達できます。この位置関係は26カ月に一度現れるので、そのタイミングで火星に向けて出発できるというわけです。


1kgの物体を火星に届けるために必要なお金は、スペースシャトルの場合は1万8000ドル(約190万円)


これに対してSpaceXのFlacon 9なら2700ドル(約29万円)とずっと低価格でOK。SpaceXは打ち上げ費用をどんどん安くしています。


Falcon 9にはMerlinと呼ばれるSpaceX製のロケットエンジンを9つ搭載。推力/重量比は155:1で、最も高性能なロケットエンジンとなっています。


7900kNの推進力で、500トンのロケットの機体を離陸させ……


その後、音速の5倍まで加速します。


そして「インターステージ」と呼ばれる、第1段ロケットと第2段ロケットをつなぐ部分を切り離す作業に移ります。


上空75キロメートルの宇宙空間で第1段のロケットとインターステージを切り離すと……


第2段のロケットを着火します。この第2段ロケットは点火・消火を繰り返すことが可能。これによって最適な軌道を維持することができます。


アポロ計画で使われたサターンVではロケットは使い捨てにされましたが、Flacon 9の第1段ロケットは使い捨てではないところが大きな特長です。


第2段ロケットの「Composite Fairing」と呼ばれるカバーで覆われた部分には、大型バス1台分の巨大空間があり、大量の物資を輸送することができます。


切り離された第1段ロケットは……


先端にある「コールドガススラスター」(ガスを燃焼させず、噴射のみ行うエンジン)を作動させ、姿勢のコントロールに入ります。


そして、再びロケットに点火して落下速度を調整します。


姿勢制御ガスを噴射して、落下する角度を微調整することも可能。


網のようなパーツ「グリッドフィン」を出して姿勢を調整しつつ……


時折、ロケットを逆噴出。


海上のはしけ「ドローン船」を目指して落下します。なお、海上に着陸ポイントを設ける理由は、万一、ロケットがコントロールを失った場合でも被害を最小限にとどめるためです。


見事にドローン船に着陸することに成功。


こうしてロケットを使い捨てではなく再利用することで、ロケット打ち上げ費用を劇的に下げることができる点が、SpaceXのFalcon 9の特長です。


一連の流れをまとめるとこんな感じ。


ロケットを再利用できる点だけがSpaceXの画期的なことではありません。


SpaceXは、ロケットエンジンの設計や製造……


機体の製造


打ち上げプログラムの製作や打ち上げなど、ロケット打ち上げに関するすべての工程をSpaceXだけで行える世界初の垂直統合ロケット製造会社である点が画期的です。


この垂直統合スタイルによって、ロケット打ち上げ費用を下げることができます。


例えばスペースシャトルの場合、オービタはロックウェルが、外部燃料タンクはロッキードマーティンが、ロケットブースターはATKが製造するという分担制でした。


各部品の製造を担当するメーカーには下請け、孫請けの業者があり、それらすべての業者が利益を確保する必要があるため、ロケット全体のコストは高くならざるを得ません。


これに対して、SpaceXのロケットを製造するのはSpaceXのエンジニアのみ。


開発現場で起こった問題も、各部門が連携することで迅速に解消することが可能です。


各部門のチームワークはロケット打ち上げを成功させるためにとても重要になります。


そのため、SpaceXのオフィスフロアは「風通し」の良い設計になっています。


フロアの端にあるこの一角が、マスクCEOの机。誰でもすぐにマスクCEOに進言できる体制が作られており、SpaceXのロケット開発のスピードは維持されているのです。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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