人は銃を向けられるとどのような行動を取るのか?という実際の記録
by 'Rudy van der Veen' on skitterphoto
アメリカ南部・フロリダ州の高校で銃乱射事件が起きた際に、トランプ大統領は、乱射直後に校舎に入らなかった保安官代理を批判し「自分なら武器を持っていなくても突入した」と語りました。銃を持った人と対峙した時に、実際に人はどのような行動を取るのか、実際の記録が公開されています。
Fight or freeze: What we did when faced with a gunman - BBC News
http://www.bbc.com/news/world-us-canada-43217137
◆ヘザー・ブライアントさん 42歳 メリーランド州在住
by Somchai Kongkamsri
ある夜、私がお店の中を歩いていると、男性が近づいてきて私の胸に銃をつきつけながらお金を要求しました。
銃を突きつけられながらも私は現金を袋に入れ、男に渡しました。この時、「お金を渡したから彼は立ち去ってくれるだろう」と考えていましたが、彼は去りませんでした。
彼は「口を閉じて自分自身を呪え」と言いました。そして、倉庫に連れていくようにと指示されました。私は男に従っているように振る舞いました。この状況から抜け出せる方法がわからず、しかも何かを考える時間は数秒しかありませんでした。
1つ頭に浮かんだのは、人がたくさんいる営業中のお店よりも、逃げるための窓や扉のない倉庫の方が撃たれやすいだろうということ。「銃を持った男と倉庫にいくべきではない」と思ったことを覚えています。
扉を開けるふりをしながら、私は一瞬で胸元から銃を払い落とし、そこから生まれた隙に金属製の陳列ケースを男の頭に投げつけました。彼はひざまずき、お金が床に散らばりました。
銃は既に彼の手を離れていました。しかし、彼は私に対して怒っており、戦い続けなければならないことがわかりました。
私たちがやり合っている間に、窓の外にいた女性が物音に気づき、窓を凝視していました。彼はこの事実におびえ、銃を持って走り去りました。走り去りながらまた戻ってくると言いました。
多くの人が、このような危機に遭遇したとき固まって動けなくなったことを私は知っています。自分自身が無力で弱いと感じて動けなくなるのです。私の場合は、何らかの理由から本能が「戦え」と指示し、幸いなことに戦うことがでいました。選択肢などなかったのです。
◆ティナ・リングさん 53歳 オクラホマ州在住
by Snapwire Snaps
今週は私が経営する酒店の10周年でした。そんな週に、30歳になる娘のアシュリー・リーと働いている時に、銃を持った男が入ってきたのです。
彼はショットガンを持ちながら近づいてきて、レジからお金を出すように私たちに要求しました。「本気か?」と思ったのを覚えています。これまで、このようなことは起こったことがなく、どう反応すればいいかわからなかったのです。
最初、私は彼に従い、レジを開けてお金を渡すよう娘に伝えました。娘は私の言葉に従いました。その間、何かを考えていたわけではありません。ただ反応したのです。
彼はお金をつかむと扉の方に歩いていきました。私はカウンターの下にかがみ、隠してあった2丁の銃をつかみました。
次の瞬間で私が覚えているのは、カウンターの方へと戻ってきた男の顔です。トリガーを引いたことは覚えていないのですが、私はトリガーを引きました。
男が私をつかんだ時、彼は1時間前に入ってきた客だとわかり、私は「あなたを知っている」と口にしました。その言葉は彼をパニックに陥れてしまったので、言わなければよかったと思っています。
その恐ろしい数分間について覚えているのは、娘を守ろうとしたことです。私も娘も彼を撃ちましたが、彼が倒れることはありませんでした。娘の身に何かあること、そして自分の命が危ないということに恐怖を感じました。
私は彼の腕を振り払うとドアへと走り、逃げました。男は追いかけてきましたが、何とか逃げ切ることができました。
彼が生きていることに感謝しています。私は彼を傷つけようとしたのではなく、ただ娘を傷つけることをやめさせたかったのですから。
それが起こるまで、自分がどう反応するのかなんて、あなたは絶対に知るはずがありません。
◆レン・ペンゾさん 54歳 カリフォルニア州在住
by Igor Ovsyannykov
16歳の時、私は地元のスーパーで働いていました。週末シフト、忙しい店内で働いていたときのことです。
お客さんの食料品を袋に入れている時に、スーパーの扉の近くに駐車された車の、甲高いタイヤの音を聞きました。最初は、特にそのことについて深く考えませんでした。むしゃくしゃした運転手が駐車場以外の場所にただ車をとめただけだと。
私は間違っていました。
次の瞬間、パンティストッキングをかぶった3人の男がお店に入ってきて、「動くな、手を上げろ!」と大きな声で叫びました。強盗のうち1人は会計の列に並んでいた人々に銃を向け、ひわいな言葉を放ち、人々に手を上げるよう伝えました。私は目の前で起こっていることが信じられず、それが危機的な状況であるとまだ頭の中で処理できていませんでした。全てが現実のものではないように思えたのです。
3人目の強盗は銃を持って私の方にやってきました。彼は自分でレジのお金を取るため、私に床に伏せるように言いましたが、あいにく私は恐怖のあまり体が麻痺して足を動かすことができませんでした。彼は叫んで命令し、「床に伏せろと言っているんだ!」と私を罵りました。それでも私は動けませんでした。凍りついていたのです。
彼は目に見えていらだち、私を地面へと突き倒して、顔を押さえつけました。そして私の後頭部に銃を突きつけ、もし動けば頭を吹き飛ばすと言いました。彼は私が彼らの犯行のペースを下げたと怒っており、私は自分の命はここまでだと考えました。
頭に銃を突きつけられた時の感情は、うまく説明できません。恐怖を除けば、私が経験した最も大きな感情は無力感でした。
その瞬間、あなたは、あなたのが死のうが生きようが気にもとめない誰かの言いなりになるのです。あなたの命はどうなるかわかりません。
彼がトリガーを引いた時に感じることについて考えたのを覚えています。そして、父や母、妹について考え、神に祈りました。永遠にも感じられましたが、強盗が犯行を終えるまでの時間は1分たらずでした。彼らは扉から飛び出していきました。
今思い返してみると、私が恐怖から麻痺したのは、無意識に「逃げるのも戦うのも、どちらも適切な反応ではない」と判断したからなような気もします。
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