暴力的なゲームの規制を主張するトランプ大統領陣営の主張の数々
by au_tiger01
アメリカで多発する銃乱射事件に反応し、「暴力的なゲームが銃乱射事件を引き起こす」として過激な暴力表現を含むゲームを規制するよう主張しているトランプ大統領が、2018年3月8日に議員やゲーム業界の幹部を招待した会議をホワイトハウスで開催しました。会議の場に参加した専門家の一人、デイブ・グロスマン氏は「強硬なゲーム規制派」として知られる人物です。
One of Trump's Video Game Experts Thinks Cops Are at War and Murder Makes You Horny - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/8xdp3g/trumps-video-game-meeting-dave-grossman
2018年2月にアメリカ・フロリダ州の高校で発生した銃乱射事件を受け、トランプ大統領は事件現場に居合わせた生徒や被害者の保護者たちを前に、「暴力的なビデオゲームが若者の思考に影響を与えている」と述べました。そんなトランプ大統領は、2018年3月8日にも識者を集めてゲーム規制に関する会議を開催しており、その会議に出席したデイブ・グロスマン氏は、「暗殺の世代:ビデオゲーム・暴力・そして殺人の心理学」などの著作で知られる作家です。
グロスマン氏は元陸軍中佐だった退役軍人で、暴力的なビデオゲームやメディアが子どもたちを殺人行為に向かわせると主張しています。また、警察が逮捕時や捜査の過程で犯人を殺害してしまう行為を許容するよう、各州の司法機関で講演を行う人物でもあるとのこと。グロスマン氏はオハイオ州で行った講演で、「警察官は犯人を殺害した後のセックスで、最高の快感を得られる」という奇抜な論を展開しています。
トランプ氏は「犯人逮捕時に犯人を傷つけることを気にするな」と警察官たちに呼びかけるなど、治安維持のためなら多少の暴力行為は許されるという考えを持っているとのこと。トランプ氏のこの主張は、グロスマン氏の主張と重なる部分があるとMotherboaedは述べています。
by 7th Army Training Command
さらにグロスマン氏は頻発する銃乱射事件の対策として、銃規制ではなく学校の教師が武装化することを提案しています。「イスラエルやタイの教師も、学校を守るために必要なのは武装した教師と保護者が学校にいることだと知っている」と主張しており、学校の教師全員に従軍経験が求められるイスラエルや、イスラム系テロ組織に対抗して武装する例があるタイ南部の例を引き合いに出しています。
「私たちは戦争中なのです。あなたたち警察はその最前線におり、警察が武装を緩めた途端に子どもたちを襲う事件は増えるでしょう。次に狙われるのは武装を緩めた警察組織そのものとなり、やがて襲撃の対象はアメリカ全土に広がります。そうしたらアメリカは深い穴にはまって抜け出せなくなってしまうのです。ロシアでは誰一人として、警察の軍事化に文句を言う人間はいません」と、グロスマン氏はある警察組織に対する講演の締めくくりに述べました。
by I.Nandez
グロスマン氏が講演を行うのは司法組織だけでなく、アメリカ各地の学校でも「ビデオゲームこそが学校襲撃の本当の原因だ」と主張する講演を行っています。「銃はいつでもそこにあったが、近年新たに現れた要因は暴力的なビデオゲームによる、視覚的な殺人のイメージだ」とグロスマン氏は語っています。
3月8日の会議にトランプ氏が招集したのは、グロスマン氏を初めとする「ビデオゲーム規制に関する会議の場に、トランプ氏が呼びたかった人物しかいない」とMotherboaedは述べています。多くの共和党議員やトランプ大統領の弟が取締役会のメンバーであるゲーム会社ゼニマックス・メディアの幹部など、トランプ氏との関係が深い人物に加え、メディア・リサーチ・センターのブレント・ボゼル氏や「親たちのテレビ会議」のマリシア・ヘンソン氏など、「ビデオゲームが好きでない人たち」のみが会議に参加できたとのこと。このように暴力的なゲームに否定的な考えを持った専門家を集め、ゲームの規制に関する主張をとりまとめるトランプ大統領の方針について、Motherboaedは懸念を投げかけています。
また、2018年1月に公開されたばかりの最新の研究では、「ゲームをプレイすること」と「暴力的であること」の間には何の関連もないことが示されています。
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