「もし地球が球体ではなく立方体だったらどうなるか」を物理エンジンでシミュレートしたムービーが公開中
地球平面論者が何と言おうと、地球が丸いということは科学的にも証明が可能で、もはや疑いようのない事実となっています。しかし仮に地球が球形ではなく立方体だったとしたら一体どんなことが起こってしまうのか、色んな疑問について物理エンジンでシミュレートして考えるチャンネル人工知能さんが以下のムービーにまとめています。
【物理エンジン】もしも地球がキューブ型だったら【立方体地球】 - YouTube
地球は半径6400kmの球形であるということが現在では分かっています。しかし地球が球体であるということ自体は紀元前から唱えられていて、ヘレニズム時代の学者エラトステネスは地球が球体であることを利用して地球の大きさを人類で初めて測定したと言われています。
しかし古代では、一部の学者を除く多くの人は地球は平らだと考えていて、現代でもそう考える人が少なからず存在します。
そこで地球の球体と密度・体積が等しい立方体を用意します。一辺の長さは10270kmとなります。密度・体積が等しいのでもちろん立方体の地球は本来の地球と同じ質量です。
さらにその1面の中心に東京を設定します。東京を通りかつ面に垂直な軸で地球が自転していると考えます。
そもそも、自転している地球の上で私たちが普通に生活できているのは万有引力のおかげです。そして万有引力から地球の自転で生じる遠心力を差し引いた分が重力となります。球体に接する面は球の半径と垂直となるため、私たちは地球上のどこにいても地面に対してほぼ垂直な重力を感じることができます。
しかし立方体だと、場所によって角度が変わってしまうため、重力を計算しようとすると以下の画像のように複雑になってしまうとのこと。また、万有引力は地球の重心までの距離の二乗に反比例するので、球体と違って中心までの距離が一定ではない立方体上では、重力の大きさも変化してしまいます。
このややこしい数式を物理エンジンに代入してみたところ、重力の向きは以下の画像のような感じになります。全ての矢印が立方体の中心を向いている状態です。
面の中心にある東京では、重心までの距離が球体の時よりも短くなっているので重力が少し増す計算になりますが、地面に対して重力がほぼ垂直なので普段通りの生活が可能です
しかし、立方体の辺上では球体の時よりも確実に重心までの距離が長くなるため、重力は減ってしまいます。
さらに重力は立方体の中心に向かうのに対して、地面は平面であり続けるので、辺にいる人にとっては45度の坂に感じてしまいます。
結果として重力の向きと大きさが変化してしまうことで、平面の地形なのに面の中心に向かって滑り落ちるという不思議な現象が起こります。
また地球上にある海の水を立方体の地球に流し込んでみると……
面の中心部に水がたまってしまうため、巨大な水たまりが面の中心を覆ってしまいます。
その結果、面の中心に位置する日本は海の底に沈んでしまうということになってしまいます。
次に浮上するのは地球上の大気の問題です。
地球上の大気圏は重力によって維持されています。そのため、立方体の地球だと海水と同様に面の中心に集まってしまいます。ただし中心には海水がたまっているので、人間が住む場所が1~0.7気圧と想定した場合、その周囲10km幅の環状部分のみが人間の住める場所になるとのこと。
そうなると、大気がほとんどない立方体の辺にあたる部分に住む人たちは宇宙服を着ながら、さらに45度近くの急斜面に耐えて生活をしなければなりません。また地球上の土地の格差が今以上に大きくなり、人類同士で幅10kmの居住可能地帯を奪い合うことになるかもしれません。
最終的に「地球が丸くて助かった」というシンプルな感想でムービーは終わります。
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