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デジタル広告の有望市場は自動車の中にある


自動車メーカーは自動車とインターネットを接続してデータを収集する取り組みを進めています。いわゆるコネクテッドカーは、自動運転技術などにも応用され得るものですが、将来のデジタル広告の超有望市場として期待されているという指摘があります。

The Car of the Future Will Sell Your Data - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-02-20/the-car-of-the-future-will-sell-your-data

2018年1月にラスベガスで開催されたCES2018でフォードのジェームス・ハケットCEOは、「強盗が自動車に乗り込んで走り去ってしまった場合に、強盗が今どこにいるか知りたくないですか?」と述べ、自動車のデータ収集がドライバーを犯罪から守ることになるかもしれないとの見解を明らかにしました。フォードに限らず自動車メーカー各社は、車載センサーで収集したデータを活用することで、よりよい運転体験を生み出せるとアピールしています。例えば、充電機能付きの駐車場を検出したり、事故が多発している交差点で注意を促したり、タイヤがパンクするタイミングを予測したりと、ドライバーの位置情報を含めた自動車に関する情報を活用することで、運転はますます快適になるという主張です。


これらの運転体験の向上を目的にコネクテッドカーが開発されているのは事実ですが、それとは別に「ドライバーの消費行動につなげるためのデータ収集」を自動車メーカーは狙っているという意見があります。端的にいえば、ユーザーの情報を外部に売却して利益を上げようというわけです。

例えば、赤信号で停車中の自動車のインフォテインメントシステムに、「すぐそばのピザ屋で使える500円の割引クーポン」が表示されれば、ドライバーはピザを購入するかもしれません。ガソリンの残量が少ないことを検出して、ガソリンの値引きクーポンを効果的に出せば、ユーザーはガソリンを購入するかも知れません。


「自動車を運転するドライバーの運転行動は、ネットでの検索活動よりも金銭的な価値がある」とデータマネジメントについて自動車メーカーと協同するコンサルタントのロジャー・ランクトット氏が話す通り、運転中の自動車の情報をAIが整理して、適切なタイミングで適切な広告を出すことは技術的に可能になりつつあります。ランクトット氏は、自動車メーカーの究極の目標は、ドライバーに関する情報を外部の企業に販売するために、今のGoogleやFacebookと同様のデータベースを構築することだと指摘しています。

ユーザーデータを収集する上では、プライバシーの問題は避けては通れません。そのため、ユーザーデータを匿名情報として取り扱って収集し、ビッグデータとして活用することも検討されています。コネクテッドカーのクラウドプラットフォームを開発するOtonomoは、2018年2月20日にNTTドコモ・ベンチャーズから300万ドル(約3億2000万円)の出資を受け入れましたが、Bloombergによると自動車メーカー10社の他にも75社とすでに提携しており、その中には、ファストフード企業、保険会社、ガソリンスタンド、都市開発企業などが含まれているとのこと。例えば、自動車の故障を知ったクレジット会社はローンを提供する、ということがあり得ます。また、銀行が自動車の活動状況全体の停滞から雇用の消失具合を探り景気後退の兆しをつかもうとデータ分析に活用することもあり得るそうです。


もちろん、ビッグデータとしての活用やターゲット広告としての利用については、しばらく先の未来の話ですが、まずはドライバーの利便性を高めるツールとして、自動車のデータは活用されていくことになります。すでに、コネクテッドガーは市場に出始めていますが、まだまだ一部の高級車に限られています。しかし、本当のターゲットは低価格の自動車を購入する層だとの指摘もあります。コネクテッドカー向けのGPSナビを提供するTelenavのキー・タン氏は、無料サービスとの引き替えに広告を見る・聞くというビジネスモデルが成り立つと予想しています。これはすでにウェブやモバイル端末で有効性が確かめられている手法であり、自動車の情報システムでも通用するというわけです。「高級車の場合、車内は安全で快適で静かなものなるでしょう。ただし、中間層や低所得者層の自動車では、無料サービスと引き替えに広告を見るという関係が受け入れられる余地が大いにあります」とタン氏は述べています。

自動車の車内に打ち出されるポップアップ式の広告は、1台につき平均で30ドル(約3200円)の料金を生み出せるとの試算があり、この広告費はTelenavのようなプラットフォーム提供者と自動車メーカーとで山分けされる可能性をBloombergは指摘しています。CES2018の会場で取材に応じたタン氏は、具体的な社名は明かさなかったものの、「いくつかのメーカーとは深い議論を交わしている」ことを認めたそうです。

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