テスラはひそかに実際に走行するテスラ車のデータを使って自動運転ソフトウェアを開発している
テスラモーターズの電気自動車(EV)は、「半」自動運転モードを実現する「オートパイロットモード」を搭載してます。テスラはソフトウェアの改良を続けて自動運転技術の実現を目指していますが、ソフトウェア開発には、実際に世界中の道路を走行しているテスラ車のデータを活用していることが明らかになりました。自動運転車の開発において、大手自動車メーカーを圧倒するデータを武器に、テスラは自動運転車開発競争で優位に立とうとしています。
Tesla Tests Self-Driving Functions with Secret Updates to Its Customers’ Cars
https://www.technologyreview.com/s/601567/tesla-tests-self-driving-functions-with-secret-updates-to-its-customers-cars/
テスラのオートパイロット開発責任者のスターリング・アンダーソン氏が、MIT Technology Reviewの取材に対して、テスラの各車に搭載しているカメラやレーダー、センサーからの情報は、オンラインで収集されて自動運転車技術の開発に活用されていることを明らかにしました。
モデルSに代表されるテスラのEVは、OTAによってソフトウェアをアップデートすることができ、既存のソフトウェアの改良だけでなく新しい機能をインターネット経由で追加することも可能です。このため、購入後も次々と改良が加えられるテスラ車は「走るスマートフォン」にもたとえられています。
オンラインでのソフトウェアアップデートを実現するために、テスラはEVを常時インターネットに接続するという大手自動車メーカーではまだ採用されていない試みを早くから導入してきました。この常時インターネット接続は、ソフトウェア更新だけでなく、ソフトウェアの開発にも大きく寄与しているとアンダーソン氏は述べています。
アンダーソン氏によると、18カ月前からテスラ車に搭載された周囲の状況を感知するセンサーや、超音波センサー、前方のカメラやレーダーユニットなどの情報を解析することで、実際にEVが道路でどのように走行しているのかのビッグデータを収集して、自動運転ソフトウェアの開発に役立てているとのこと。
すでに世界各地に散らばるテスラ車からのべ7億8000万マイル(約12億6000万キロメートル)の走行データを得ているそうで、アンダーソン氏は「テスラは、10時間ごとに数百マイルの走行テストに相当する"価値"を手に入れています」と述べ、自動運転技術の開発で、他のメーカーを圧倒する「実」走行データを手に入れているとしています。
テクノロジー企業として自動運転車開発競争で先行するGoogleは、仮想空間での走行試験で自動運転技術の開発を行っていることが知られています。バーチャルな世界でデータを収集するGoogleに対して、テクノロジー企業として自動運転技術の開発を進めるテスラは実走行でのデータを活用してるというわけです。
自動運転技術の開発においては、テスラやGoogleなどハイテク企業に一日の長がありそうですが、「ハイテクインフラ」を持たないその他大手自動車メーカーが、自動運転技術開発競争でハイテク企業にどのように戦うのか、興味深いところです。
・関連記事
テスラのモデルSが全自動運転実現へ一歩前進、ソフトウェアをバージョン7.0へアップデート - GIGAZINE
Googleの自動運転車は毎日480万kmを仮想空間でドライブし安全性をチェック - GIGAZINE
スマホでテスラ「モデルS」をリモート駐車できる新機能「サモン」が登場、実際に動く様子を見てきました - GIGAZINE
テスラが「モデルS P85D」のファームウェアを遠隔ダウングレードしたことが判明 - GIGAZINE
テスラやスペースXを創ったイーロン・マスクが掲示板に降臨して宇宙開発や電気自動車などの質問に答えまくり - GIGAZINE
・関連コンテンツ