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途上国向けにWikipediaの通信料が無料になる「Wikipedia Zero」が2018年で終了


オンライン百科事典「Wikipedia」を運営するウィキメディア財団が、主に発展途上国でのWikipediaに関する通信料を無料にするプロジェクト「Wikipedia Zero」を2018年で終了させることを発表しました。

Building for the future of Wikimedia with a new approach to partnerships – Wikimedia Blog
https://blog.wikimedia.org/2018/02/16/partnerships-new-approach/

今後の在り方や目指すものの戦略を議論する「ウィキメディア2030で定められてきた方向性に添う形でウィキメディア財団は2018年2月16日、公式ブログの中でWikipedia Zeroの終了を発表しました。Wikipedia Zeroは2012年にスタートしていたプロジェクトで、「高いモバイル通信費」という障壁を取り除くことで世界中で等しくWikipediaにアクセスできる環境を整えることを目指していました。

日本を含む世界の先進国ではネット環境の整備が非常に進んでいるため、Wikipediaへのアクセスが金銭的に負担となることはあまり強くは感じられません。しかし、経済が発展途上にある国ではデータ通信網の整備が追いついていないため、多くの人々はスマートフォンなどの移動通信網を介してネットにアクセスしています。そして、その通信にかかる費用が少なからず利用者の負担になっているため、ウィキメディア財団では各国の通信業者などと協力関係をつくることでWikipediaへのアクセスに対して発生する通信料はユーザーに請求しないという取り組みを進めてきました。

By Martin Knudsen

Wikipedia Zeroはプロジェクトの開始から6年間で72か国・97事業者とパートナー関係を結び、約8億人の人びとにWikipediaへ無料でアクセスできる環境を整えてきました。しかし2016年以降はこのプログラムへの関心の低下が見られるようになり、2017年にはついに新規パートナーが現れず、現時点で存在するパートナー関係の多くも2018年で終了するという状況になっていたとのこと。

この背景には、モバイル通信の環境が変化したことで無料アクセスへの必要性が減少したこと、そしてWikipediaそのものの認知度の低さが挙げられるとウィキメディア財団はブログで述べています。同財団では、Wikipediaをより多くの人に知ってもらうためのプロモーション活動を世界で実施し、イラクやナイジェリアなどでは一定の成果をあげており、今後はその実績を参考に「知識へのアクセスへの障壁」と取り除く取り組みを進めていくとのことです。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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