Intelがレーザーを照射して眼球奥の網膜に直接映像を映し出すスマートグラス「Vaunt」を開発


Googleが「Google Glass」で、Snapが「Spectacles」で、メガネ型のウェアラブル端末(スマートグラス)に挑戦しましたが、いずれも成功とはいえない形に終わっています。そんな中、半導体製造大手のIntelが、レーザーを照射して眼球奥の網膜裏に直接映像を映し出す仕組みのスマートグラス「Vaunt」を開発中。The Vergeが独占取材によってVauntの全容を公開しています。

Exclusive: Intel’s new Vaunt smart glasses actually look good - The Verge
https://www.theverge.com/2018/2/5/16966530/intel-vaunt-smart-glasses-announced-ar-video

これまでのスマートグラスとは一線を画するアイデアを持ち、メガネと変わらない自然な装着感をも実現した「Vaunt」がどのようなウェアラブル端末なのかは、以下のムービーを見れば分かります。

Exclusive: Intel's new smart glasses hands-on - YouTube


ごく普通のメガネにしか見えないツールが「Vaunt」


Vauntの開発コードネームは「Superlite」だったそうで、付けてみて違和感がないような「軽さ」が徹底的に追求されています。プロトタイプの内部に組み込まれた機器の重量は33グラムで、メガネ全体の重量は50グラム以下に抑えられています。


メガネのツルの内側に、機器が仕込まれていますが……


装着に煩わしさは一切なしとのこと。他人がVauntをスマートグラス端末だと外観から気づくことは難しいそうです。


右側のツルに搭載された「Vertical-Cavity Surface-Emitting Lazer(VCSEL)」とよばれるレーザーが、Vauntの映像出力を可能にします。


Vauntを装着すると、視界の右下に400×150ピクセルの小さなスクリーンが現れ、赤色の文字や画像が映し出されます。例えば、ナビで進行中に案内情報を表示させることが可能です。


Vauntはクラス1の低出力レーザーで作り出した映像を、レンズ表面で反射させて、眼球内にある網膜の裏側に直接結像するとのこと。クラス1の最下限の出力のため、人体への悪影響はありません。


ツルの部分に機器が埋め込まれるスタイルのため、視力矯正用のメガネにVaunt機能を内蔵することも可能。


網膜裏に直接結像するため、視力の善し悪しにかかわらず、くっきりした映像を出力できるとのこと。


Vauntの優れた点は、視線を外すだけで、小さなスクリーンが視界から消えるところ。前方を見ているときには一切存在を意識させず、必要なときだけ情報を表示させられるというわけです。


Google Glassなどのメガネ型ウェアラブル端末と違って、メガネ端末を触って操作する必要はなし。Bluetoothで接続したスマートフォンなどの外部端末からの情報を受け取り表示するのがVauntの役割。視線操作によって視界内でON/OFFできる補助ディスプレイというコンセプトです。なお、プロトタイプはコンパスを内蔵しており、頭の動きを追従可能。ゆくゆくはスピーカーやマイクが搭載されることも容易に想像できます。


使う前に、瞳孔の距離を測定。これは視力矯正用のメガネを作成するときに行うものと同等だとのこと。測定した情報をVauntに送信すれば、自分にぴったりのスクリーン表示に調整され、すぐに利用できます。


Vauntをかけてみて、違和感はまったくなく、はっきり映し出されるスクリーンのできばえは、思わず笑みがこぼれるほど。


The VergeのDieter Bohon氏は、常に視界に映像を映し出すタイプのスマートグラスは、あまりに煩わしいため「惨劇」とでも言うべきものだという考えです。それらとはまったく異なり、必要なときだけ情報を得られるVauntのスタイルは好印象だとのこと。顔や頭を覆い重くて大げさなスマートグラスに対して、一般的なメガネと外観や着け心地の変わらないVauntは、初めてずっと装着していたいと感じたスマートグラスだと高く評価しています。


Intel New Devices Group(NDG)のItai Vonshak氏は、「例えば、クッキング中に『Alexa、レシピを見せて』と呼びかけて、Vauntにレシピを表示させるというような使い方が考えられます」と、Vauntの利用法を提示します。煩わしい情報が次々と入ってくるような一般的なウェアラブル端末と違い、AIアシスタントなどと組み合わせて、自分の意思で必要な情報を引き出し、視界に表示させるのがVauntの一つの利用法だとのこと。Vonshak氏は初めてスマートフォンが登場したときに、シェアリングサービスが実現すると直感したとのこと。Vauntの登場で、まったく新しいサービス・コミニュケーションが登場するだろうと考えています。


NDGのRonen Soffer氏は、Vauntの利用シーンとして、スーパーマーケットで買い物中の状況を例に挙げます。


「例えば、買い物リストをスマートフォンから探して、これはどこだ……なんてわずらわしい作業をしますよね」


「Vauntなら、買い物に必要な情報は目の前に現れます」と、ARのような使い方ができると述べています。


IntelはVauntを直接販売することは考えていないとのこと。Vauntをどのように販売するか、また、どのようなサービスを生み出すかはサードパーティや開発者に任せる計画で、開発者にVauntの早期アクセス権を提供する予定。IntelはVaunt端末やSDKなどをデベロッパーキットとして提供することになります。なお、The VergeはVauntのプログラミングにはJavaScriptが必要だと推察しています。


スマートフォンは人と人との会話やコミュニケーションの新しい形を生み出しました。


Vauntによって、まったく新しいコミュニケーションの形がうまれるかどうかは、Vauntコンテンツを作り出す開発者たちの想像力次第です。


なお、Soffer氏がBohon氏に対して、「こうやって話していた真っ最中に、実はゲームをしていました(笑)あなたはVauntを使って、『人を無視する』まったく新しい方法を手に入れられます」と冗談を言ってムービーは終了しています。


Vauntの開発を続けるIntelは、まずは連続18時間使えるように省電力性能を高める予定。18時間使えれば、睡眠中に充電することで常に利用可能というわけです。Intelは、GoogleやSnapが失敗した「スマートグラス」という次世代型の端末を、より実用的なアイデアとして具体的な形にしつつあるようです。

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