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Metaは単体動作可能なARグラスを2024年に発売し「初代iPhone」のようなインパクトを起こすことを目指している


Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、同社が構築するメタバースにアクセスするためのデバイスである「単体動作可能なARグラス」を2024年にリリースするべく開発を進めている、と海外メディアのThe Vergeが報じています。

Behind Mark Zuckerberg big plans for AR glasses - The Verge
https://www.theverge.com/23022611/meta-facebook-nazare-ar-glasses-roadmap-2024

Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、メタバース構築に向けた壮大なビジョンを持っており、独自開発のARグラスを通じてユーザーがメタバースにアクセスするようになることを望んでいます。ザッカーバーグCEOはMetaの開発しているARグラスが、初代iPhoneが登場した際のような「人間とテクノロジーの関係を再定義する、聖杯のようなデバイス」になることを期待しているとThe Vergeが報じました。


ザッカーバーグCEOは2021年10月にFacebookの社名をMetaに変更し、同社が構築するメタバース上でユーザーがゲームをプレイしたりホログラムを使ってフェンシングを楽しんだりと、さまざまなことができるようになるとアピールしました。しかし、Metaが構築するメタバースに関するプレゼンテーションの中で、ザッカーバーグCEOは実際に機能するハードウェアやソフトウェアを使っておらず、記事作成時点では「MetaがイメージするメタバースにアクセスするためのARグラス」は実現していません。

Facebookが社名を「Meta」に変更すると発表 - GIGAZINE


それでもザッカーバーグCEOはARグラスの実現について野心的な目標を持っており、The Vergeが関係筋から入手した情報によると、Metaは2024年までに第1世代ARグラスを発表すべく開発に取り組んでいるとのこと。さらに、記事作成時点で2026年にリリース予定の「第1世代ARグラスよりも軽量で高度な第2世代ARグラスの設計」にも取り組んでおり、2028年には第3世代ARグラスをリリースする予定まで立てられているそうです。

ザッカーバーグCEOに近しい人物は、「ザッカーバーグはFacebookをMetaにリブランディングすることで、同社を再び革新的なものとしたいと考えている」と語っています。Facebookの評判は同社が直面してきたプライバシー問題モデレーション問題などによって著しく低下しており、従業員の士気やリーダーシップへの信頼を大いに傷つけてきたとThe Vergeは指摘。こういった状況を打破するべく、ザッカーバーグCEOはFacebookをメタバース企業のMetaへと変身させたとこの関係者は主張しているわけです。

MetaのARグラス開発に携わってきたという元従業員は、「ザッカーバーグは初代iPhoneのようなインパクトをMetaのARグラスに求めています」と語っており、ザッカーバーグCEOがMetaで開発中のARグラスにいかに大きな期待を寄せているかがよくわかります。


MetaのARグラス開発プロジェクトのひとつは「Project Nazare」と呼ばれており、このプロジェクトではAppleとGoogleが支配するスマートフォンアプリ市場の呪縛から逃れることが計画されているそうです。Project Nazareの第1世代ARグラスは、コンピューティングの一部を本体とワイヤレスで接続する携帯電話型のデバイスにオフロードすることで、スマートフォンとのペアリングなしで単体動作できるよう設計されているとのこと。さらに、Project NazareではARグラスを通じて別のARグラスを使用しているユーザーのホログラムと通信・対話する「マーキー機能」が搭載されることとなるそうで、これが既存の音声通話やビデオ通話よりも没入的で魅力的な体験になることをMetaは期待しています。

MetaはARグラスの開発に数十億ドル(数千億円)を費やしており、ARグラス用のパーツが数千ドル(数十万円)することから、The Vergeは「ARグラスの価格は未定ですが、Oculusの299ドル(約3万8000円)のVRヘッドセットよりもはるかに高価になるであろうことは明らか」と推測しています。

ザッカーバーグCEOはProject Nazareについて、「3Dグラフィックス、広い視野、社会的に受け入れられるデザインの3つを備えた完全なAR体験を提供できるARグラス」と語っています。Metaは当初、既存のスマートグラス以上の「視野角70度」を実現しようとしていたそうですが、「これは実現されない可能性がある」とThe Verge。なお、ARグラスの記事作成時点でのデザインについて、The Vergeは「スーパーマンがクラーク・ケントに変装する際に着けている黒縁のメガネに少し似ており、重さは100gで通常のメガネの約4倍です」と記しています。Project Nazareで開発中のARグラスのその他のスペックとしては、「バッテリー寿命は4時間」「主に屋内使用を想定」「ディスプレイはカスタム導波管microLEDプロジェクター」「フレーム部分にステレオオーディオスピーカー」「視線追跡用カメラ」などが挙げられています。

また、Project Nazareに搭載されるOSは、当初はGoogleのオープンソースOSであるFuchsiaをベースとした独自開発のものが予定されていたそうですが、これは2021年末に廃止され、OculusのQuestVRと同じAndroidをベースとしたものを開発中であると報じられています。

MetaがAR/VR向けOSの独自開発プロジェクトを白紙にしたという報道 - GIGAZINE


MetaはProject Nazareとは別の「Hypernova」と呼ばれるARグラスの開発にも取り組んでいるとされており、これはProject Nazareよりも安価なスマートグラスとなり、2024年にリリースされることが予定されているとのこと。Project Nazareは単体で動作するよう設計されていますが、Hypernovaはスマートフォンとペアリングして動作するよう設計されており、2020年にGoogleが買収したNorthのスマートグラスのような見た目になるとThe Vergeは報じています。


さらに、Project NazareとHypernovaで開発されているスマートグラスの両方で利用可能な手首端末の開発にもMetaは取り組んでいるとのこと。スマートグラスにはタッチスクリーンやマウス、キーボードといった入力機器が存在しませんが、この手首端末が「ユーザーの脳から発せられる電気信号を読み取る」ことで、スムーズな入力が実現することとなる模様。なお、Metaが開発中の手首端末に関する技術は、同社が2019年に買収したCTRL-Labsのテクノロジーがベースとなっています。

「脳を読むリストバンド」開発のスタートアップをFacebookが買収 - GIGAZINE


ARグラスを含むスマートグラスの開発に取り組んでいる企業は複数あり、MicrosoftやSnapもその一員です。しかし、スマートグラスは世間に広く受け入れられているかと言えば全くそんなことはなく、あくまで一部のアーリーアダプタ―が利用しているだけというのが現状です。そのため、「ARグラスとメタバースの構築にシフトしているMetaにとっては大きな賭けとなる」とThe Vergeは指摘。

なお、これまでの報道によると、Metaはメタバース関連のソフトウェアおよびハードウェアの開発部門に約1万8000人もの人員を割いており、同部門は2021年だけで100億ドル(約1兆3000億円)もの支出を計上しています。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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