ストII「春麗」の生みの親・安田朗さんが「絵を描くこと」について語るムービー
「ファイナルファイト」や「ストリートファイターII」といったカプコンゲームのデザインのほか、「∀ガンダム」ではキャラクターデザイン、「OVERMANキングゲイナー」や「コードギアス 反逆のルルーシュ」ではメカデザインを担当した「あきまん」こと安田朗さんが、日本のクリエイターに焦点を当てたムービーを公開しているtoco toco tvに出演し、自身のこれまでの仕事を振り返っています。
toco toco - Akira “Akiman” Yasuda, Illustrator - YouTube
イラストレーターの「あきまん」こと安田朗さん。キャラクターデザインやメカニックデザインなどの仕事でも知られていますが、もともとはカプコンでデザインを手がけていました。カプコンには「TVCMとか広告用のイラストを描いてみませんか?」という募集の文言で惹かれ、実際にはゲーム会社だったものの、面接を担当した岡本吉起さんがあまりにもおもしろかったため入社を決定。
初仕事はシューティングゲーム「サイドアーム」のマップを描くこと。安田さんはこのとき企画マンが偉そうにしているのを見て「自分も企画マンになりたい」と岡本さんに直訴。岡本さんから西谷亮さんのサポートをするならと、OKを取り付けました。
安田さんと西谷さんが組んだ「ロストワールド」は「時間がかかりすぎて取り上げられてしまった」そうですが……
その悔しさをバネに作り上げたのが「ファイナルファイト」でした。
「時間をかけなくてもゴージャスに見えて、売れないこともないような企画を立てれば行けるんじゃないか」という考えで作られたファイナルファイトはカプコンで一番売れたゲームになりました。そして、次に安田さんと西谷さんのチームが作ることになったのが「ストリートファイターII」。
あの特徴的なゲーム起動画面が流れ……
安田さんがキャラクターデザインを担当した春麗のイラストが映し出されます。
「昔は下絵を描かずに直接データを打つこともあった」と語る安田さん。しかし、ストリートファイターIIのころには大きなキャラクターを作れるようになったため、下絵の重要性が向上。
そこで取り入れたのが、アニメーターが使うのと同じ動画用紙にドット枠をつけたものを印刷工場で作ってもらって動画を描く、というやり方。
キャラクターデザインは安田さんも含めたみんなでデザインを持ち寄り、みんなで選ぶ方法が採られました。
ダメージをくらった瞬間のブランカも……
キャラクターを動画用紙に細かいドットで描くことで、ゲーム内でも美麗な動きになっているわけです。
しかし、安田さんは自分が想定したキャラクターと、実際にできあがってきたキャラクターとの間の違和感に悩まされます。今や世界的な人気キャラクターの春麗も、デザイン時は「カンフーといえばズボンだろう」とデザインしたものの「圧力が出てこなかった」そうです。
試行錯誤の末に見つけた解決策が、「ストリートファイターII」の春麗で見られる、「タイツにしてシューズを履かせる」というデザイン。
デザインとは「企画を絵にしたもの」なので、自分の好みや流行ではなく、企画のコンセプトに合わせてできるだけオーダー通りに作るという安田さん。オーダーが間違っていると感じた場合は「自分で自分にオーダーし直す」のだそうです。
前述の「ストリートファイターII」で大成功を収めた安田さんは、「現場から離れるように」という上司からの指示を受け入れて、その代わりに、すべてのグラフィックへ口を出す立場を得て、成功のノウハウをいろいろなチームへ伝える役に就きました。
時には、自分のデザインを反映する仕事をすることも。たとえば、「エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム」ではドッターとしてウルヴァリンを制作。
「ストリートファイターZERO2」で初登場した春日野さくらも安田さんのデザイン。「超高校生級でも百戦錬磨のストリートファイターたちに」「子供だから相手にしなかったのだろう」「でも負けは負けだあ」など、ラフ画&設定資料がメモ書きされています。
この役割は10年ほど続いたそうです。これはキャプテンコマンドーに登場する二足歩行ロボットに乗って戦うベイビーコマンドー フーバー。
ウォーザードに登場する天才魔法学者タバサ
さらに、豪鬼も安田さんのデザイン。「若かりしころのかみがたといえばちょんまげしかしらないのでこれにしている」という見た目にそぐわぬかわいらしい設定も。
その約10年を経て、ストリートファイターIII以降、「原点に戻っていいんじゃないか」とリセットの必要性を感じた安田さん。
このタイミングで受けた仕事が「∀ガンダム」のキャラクターデザインでした。
安田さんは∀ガンダムの仕事を受ける前にカプコンを離れ、以降はフリーランスとしてさまざまな仕事をこなしています。一例として、スクウェアエニックスの「スターオーシャン:アナムネシス」でイラストだけではなく、アニメーションのメカデザインとキャラクターデザインも担当。
「∀ガンダム」に引き続いて、富野由悠季監督の作品である「OVERMANキングゲイナー」のメカデザインを担当したり……
「コードギアス 反逆のルルーシュ」のナイトメアフレームデザインを担当したり。
しかし、アニメの仕事をやる中で壁を感じ、「それならゲーム業界の方がまだ合っているのではないか」と思った安田さん。2016年に「オーバーウォッチ」と出会ったときには「やらなければならない」と使命感すら覚えて毎日のように没頭。フリーランスになってから陥っていた「ゲーム嫌い」が治り、積極的にゲーム業界での仕事に復帰することに。
ムービーの中では、シリーズ最新作の「ストリートファイターV」をプレイする様子も。
最後に、やりたいこととして「自分が納得する絵を描くこと」と語った安田さん。これからもいろんな絵が世の中に送り出されていくかと思うと、楽しみです。
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