Google親会社のAlphabetがセキュリティ専門会社「Chronicle」を始動
Googleを傘下に持つAlphabetがアメリカ時間の2018年1月24日、サイバーセキュリティ企業「Chronicle」を立ち上げたことを発表しました。Alphabetが有するコンピューティング能力などのアセット(資産)を活用することで、「善き者に強みを」をスローガンに企業のハッキング攻撃検出と撃退能力を高めることを狙いとしています。
Chronicle Security - Technology
https://chronicle.security/technology/
Give Good the Advantage – Chronicle Blog – Medium
https://medium.com/chronicle-blog/give-good-the-advantage-75ab2c242e45
ChronicleはAlphabet傘下で先進的テクノロジーを開発する組織「X – The Moonshot Factory」のプロジェクトから発展したもので、企業がセキュリティ関連のデータをよりよく管理して理解することをサポートするためのサイバーセキュリティ・インテリジェンスと分析プラットフォーム、そしてマルウェアやウイルスをスキャンするサービスを提供することを目指しています。
ChronicleのCEOに就くことになったStephen Gillett氏はブログの中で、「トップに立ち続けるためにもがいている人のセキュリティチームを10倍に強化するための方法」とChronicleを表現しています。
各企業のセキュリティ対策もむなしく、悪意のあるハッカーやクラッカーによる被害は後をたたず、毎月のようにデータ流出などのハッキング被害が報じられています。しかし、十分な対策をとるために必要な人材・能力・技術は、世界中の企業で不足しているという現実があります。その結果、企業の現場ではハッカーによる攻撃が何ヶ月も発見されずに放置されていたり、仮に異変に気付いたとしても対策をとって復旧を行うために何日もの時間が費やされたりしています。これら全ては、データ侵害の増加や損害の増加、セキュリティコストの増加につながります。
Chronicleは、Alphabetが持つスケーラブルで膨大なコンピューティング能力とストレージというアセットを活用することで、セキュリティ問題を解決するソリューションを企業に提供することに狙いを定めているとのこと。今やAlphabetが持つコンピューティング能力は世界最大級であり、次のようなサービスを可能にするとしています。
・チームにとって役に立つ情報を検索または取得して、現在は数時間または数日かかる分析処理を数分で完了させる
・他のどんな組織よりも膨大かつ低コストなストレージ能力を活用することで、複数のデータソースから見いだされるパターンや長年のデータから見つかるパターンを把握する
Chronicleは、2016年2月にXプロジェクトとして公式に設立されていたもの。世界最大級のサイバーセキュリティ企業「Symantec」に在籍した経歴を持つGillet氏のほか、世界各地のセキュリティ企業での経験を持つ人物がXに集結して新たな技術の開発を進めてきたとのこと。また、Googleが2012年に買収していた「VirusTotal」のBernardo Quintero氏もChronicleの主要ポジションを占めています。
Gillet氏はブログで「Chronicleの基本的な目的は、企業のセキュリティの盲点や死角を取り除き、企業が自分たちのセキュリティの全容を細部まで明確に把握できるようにすること」であると述べています。記事作成時点では、Googleで使用されている技術をベースに、これらのサービスの開発に向けた初期段階にあるとのこと。Gillet氏もこの段階ではあまり伝えられることが多くはないことを認めていますが、すでに「フォーチュン500」に数えられる大企業との取り組みを進めているとのことで、近いうちにその詳細な姿が明かされるものと見られます。
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