半導体チップメーカーは若い技術者獲得競争での劣勢を深刻に受け止めている


IT産業では優秀な技術者の存在なくして競争に打ち勝つことは不可能です。しかし、その時代のトレンドによって技術者の人気の業種はめまぐるしく移り変わるもので、今、半導体業界は他のIT産業との技術者獲得競争で遅れをとり大きな危機感を抱いているようです。

Chipmakers Rally in Talent War | EE Times
https://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1332865

半導体業界のシンポジウムIndustry Strategy SummitにおいてApplied Materialsのダン・ダーンCFO(最高財務責任者)が、「私たちの業界は、かつては輝かしい日を送りました。しかし、今は才能ある技術者の獲得戦争が起こっています。子どもたちが夢見ているのはGoogle・Facebook・Appleであり、われわれ半導体業界ではない。この状況を変える必要があります」と述べ、IT業界における激しさを増す技術者獲得競争で半導体業界が劣勢に立たされている状況に対して危機感をあらわにしました。


ダーンCFOは父がアメリカのミサイル開発に用いていた半導体を持ち帰ったのを見て、技術者としての小さな火が心にともったことがきっかけで、Globalfoundries、NXP、Applied Materialsと半導体業界を渡り歩くことになったそうで、子どもたちが半導体業界に関心を示していない状況を他人ごとには思えないとのこと。ダーンCFO自身が大学に入学する前に将来の目標を固めていたように、技術者の卵たちは早い時点で興味関心を抱いた分野を目指すため、子どもたちの注目を集めなければ、ハイテク業界での人材確保は困難であると考えています。

Deloitte Consultingのクリス・リチャードCEOは、「半導体業界は回路幅でわずか原子数個分の世界まで到達していますが、古くさい業界というイメージをもたれている」と述べています。学生のブランド認知アンケートの下位15社には、ASML、KLA-Tencor、SK Hynix、TSMCなどの半導体企業がひしめいており、これらの企業は学生にとってみれば聞いたこともないような存在なのだそうです。


半導体チップベンダーの約85%が、自動システムで動くデジタル制御技術を現在と同じ水準の成長度で維持するために、ビッグデータや機械学習などの新しい分野の若い才能を求めているとのこと。しかし、Deloitte Consultingの調査によると半導体業界の約77%の企業が、新しい分野の才能ある技術者が足りない状況にあるそうです。

SamsungやIntelはハイテク業界でもトップクラスの高い収益性を誇りますが、それはNetflixやAirBnBなども同様。「電子機器の中身」という消費者にとって目の届かない分野で戦う企業は、一般生活で身近なサービスや製品を開発する企業に比べると、存在をアピールしなければ、若い才能から見向きされないという危機感を感じているようです。

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