徳島県の小さな町でごみを減らすために行われている取り組み「ゼロ・ウェイスト運動」が今や世界中から注目を集めている
徳島県の山中に位置する上勝町は、ごみを減らそうという「ゼロ・ウェイスト運動」を2003年から行っていて、ごみを減らすためのさまざまな工夫に取り組んでいます。その運動は世界からも注目を集めており、例えば海外のYouTubeチャンネル「Great Big Story」は、以下のムービーで上勝町のゼロ・ウェイスト運動にスポットライトを当てています。
Japan’s Town With No Waste - YouTube
徳島県勝浦郡上勝町は四国の山に囲まれた小さな町です。
上勝町の特産品は阿波晩茶で、町には茶畑が広がっています。
上勝町は2003年に、「2020年までにごみの焼却・埋め立て処分をゼロにしよう」という「上勝町ゼロ・ウェイスト宣言」を行いました。ウェイストとは英語でごみを意味します。
NPO法人「ゼロ・ウェイスト・アカデミー」の理事長を務める坂野晶さん。彼女たちの活動によって上勝町の「ゼロ・ウェイスト運動」が始まりました。
1990年代までは各家庭でごみを焼却したり山へ捨てたりしていました。野焼きによるごみの焼却は周辺の環境に悪影響を与え、大気汚染の原因にもなるため、これを廃止してごみの分別とリサイクルを町全体で徹底するようになりました。ゼロ・ウェイストとはごみをどこかにやってしまうという意味ではなく、全部再利用しようという意味です。
町の人は家のごみを分別所に持ち寄り、ひとつひとつ分別しながら捨てていきます。
分別するごみの種類はなんと45品目にも及びます。もちろんこれだけ細かい分別となると、上勝町の住民も初めはかなり戸惑っていたようです。
上勝町で商店を営む武市さんは「ゼロ・ウェイスト運動が始まった時は、やらなければいけないことや分別する時間が増えたので、生活への負担となった。しかし物を捨てる時によく考えるようになり、物を大事にするという気持ちがより強くなった」と語ります。
また上勝町に住む主婦は「今までプラスチックも生ごみもまとめて焼いて済ませていたのが、分別するようになったのでかなり戸惑った」と語りながら、ごみを分別します。
上勝町に移住したレストランシェフの表原さんは、上勝町に来る前はごみを全部まとめて捨てていたのが、食べ残しなどの生ごみをコンポストで畑の堆肥にして再び食材に還元するという循環するサイクルを作り上げることで、意識も変わっていったと言います
日本全体のリサイクル率は20%前後にとどまりますが、ゼロ・ウェイスト運動を10年以上続けてきた結果、上勝町のリサイクル率は80%という驚くべき数字を上げています。「生活への負担が増えた分、心が豊かになった分は確かにある」という武市さんの言葉でムービーは締めくくられていました。
ムービーのコメント欄には、「学校の授業でこのムービーを扱ったよ!」「私たちもこの事例に追随しなくては。本当にちょっとしたことからでも始めよう」「素晴らしい、自分の国もこうなってほしい」など、好意的なコメントが日本国外から多く寄せられていました。
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