1兆5000億円規模のAmazonによるホールフーズ・マーケット買収に「反トラスト」の調査が入る動き
By Mike Mozart
2017年6月16日、アメリカのAmazonが高級食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」の買収を発表しました。その買収額は137億ドル(約1兆5000億円)と巨額のものなのですが、アメリカ国内からはこの買収劇が反トラスト法(アメリカの独占禁止法)に違反する懸念があるという声が次々に挙がっています。
Amazon's Whole Foods deal under scrutiny - BBC News
http://www.bbc.com/news/business-40708880
世論全体では、両者の合併をおおむね好意的に受け止めているものの、その規模の大きさから悪影響を懸念する声が挙がっているとのこと。アメリカの民主党は政府当局に対し、Amazonとホールフーズの合併により、特に他の商店や商品の購買方法に選択肢がないケースにおいて、消費者の選択が限定されることがないか調査を求めました。これは、合併による企業の独占が強まってしまうことを懸念したもので、消費者の不利益が生じることを危惧しての動きです。
この懸念の声は、両者による合併交渉がアメリカの航空、銀行、通信分野で企業統合による影響が懸念されているさなかに発表されたものでもあります。民主党は同等が掲げる経済に関する方針の一部として「反トラスト」の懸念を表明しているほか、トランプ大統領も選挙期間中には、Amazonに対して「非常に大きな反トラストの問題がある」と意見を表明していました。
By Global Panorama
民主党では、オハイオ州選出のMarcia Fudge議員を中心とする議員団が、司法省と連邦取引委員会に対して「この合併話に反対するものではない」という姿勢を示した上で、「単に競争力のみを精査する通常の反トラスト調査ではなく、さらに詳細な精査が行われるべきである」とする書簡を送付しています。また、消費者権利団体の「Consumer Watchdog」は、Amazonがユーザーに対して商品の割引を誤解させるような手法を採っていることを改善させない限りは、合併を停止させる措置をとるべきだと(PDF)声明を発表しています。
AmazonはConsumer Watchdogの訴えに対して異議を唱えているほか、連邦取引委員会に対しては合併に関する書類を再提出し、政府による予備調査の締め切りを再設定する動きにでています。また、ホールフーズは当初、合意は2017年第2四半期にも締結されると予測していましたが、投資家に対して2018年5月にまでずれ込む可能性があると注意を促しているとのことです。
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