レビュー

言葉ではなくフォントの種類で札を見分ける「フォントかるた」で実際に遊んでみた


ウェブサイトや印刷物など、生活の中にはフォントがあふれています。その中からなじみのあるもの、ユニークなもの、使いやすいものなど48種類を選んで制作したのが「フォントかるた」。言葉の違いではなくフォントの種類だけで札を見分けるという、明らかに玄人向けのかるたを、フォント初心者たちで遊んでみました。

フォントかるた
https://www.fontkaruta.com/

これがフォントかるたのパッケージ。


中にはフォントかるた読み札用ケース、遊び方が書かれた紙、取り札、読み札が入っていました。


取り札はこんな感じ。


取り札の表面には全て「愛あるユニークで豊かな書体。」という、写研の書体見本帳「写植書体見本帳」で使用されている言葉が書かれています。


取り札の裏面には表面で使われているフォントの名前。


また、読み札には、フォント名・フォントの説明・フォントのサンプルが書かれています。


フォントかるた読み札用ケースはハサミとのりで組み立てると……


こんな感じで読み札をしまえるので、1人で遊ぶ時もフォントのサンプルを見ることなく、フォント名と説明の文章だけをもとにかるた取りができます。


読み札を反対向きにしてケースに入れると、説明さえなく、フォント名だけでかるたを識別する必要が出てくるので、難易度は高め。


48枚の取り札を並べてみると、世の中に愛のあるユニークで豊かな書体がこんなにもあるという事実に悦に入れます。


まずは一人でプレイしてみます。よく知っている「MS ゴシック」はリコーが開発したもの。「写植の書体デザインを元に作られたプレーンなゴシック体。Windowsやオフィス製品の標準的なフォントとしてよく知られている」とのこと。


記憶の中のMS ゴシックを呼び起こし、これだ!と札を取ると……


「ゴナ B」


じゃあその隣にあるコレ!と続いて手に取ると……


「中ゴシックBBB」……と、知っているはずなのに全然札を取れません。


正解はこれ。ゴシック体は数が多く、豊富な知識と短時間でじっくり見比べる能力がないとまず正解しないのでは……?というか、これは素人には無理がありすぎるのでは……?とこの時点で不安が募ります。


なので、初心者はサンプルを表示させて、サンプルと同じフォントを探す、という方法をとってもOK。


なお、取り札には明朝・ゴシックのようなスタンダードなものに加え、「TB古印体」「ふい字」「プリティー桃」「くもやじ R」などの個性的なデザインフォントも書かれています。


使用書体は以下の48書体。

かるた BOLD/リュウミン B-KO/ヒラギノ明朝体 W8/小塚明朝 M/游明朝体 M/A1 明朝/マティス EB/ヒラギノ角ゴ W7/ゴシックMB101 B/游ゴシック体 B/こぶりなゴシック W6/太ゴB101 Bold/MS ゴシック/メイリオ/AXIS FONT ベーシック M/中ゴシックBBB/ゴナB/新ゴ R/新丸ゴ M/ヒラギノ丸ゴ W6/秀英丸ゴシック B/じゅん 34/筑紫A 丸ゴシック Bold/ナールDB/ナウ MU/わんぱくゴシックN B/ナウ GU/ハルクラフト Heavy/ハッピーN H/タカハンド B/くもやじ R/フォーク B/丸フォーク B/カクミン B/竹 B/創英角ポップ体/はるひ学園 L/明石 L/正楷書CB1/角新行書 M/モアリア B/教科書ICA M/ふい字/武蔵野/TB 古印体/勘亭流/プリティー桃 Bold/凸版文久明朝 レギュラー


フォントかるたは1人プレイ、2人プレイ、大人数プレイに対応しているとのことなので、編集部員2人にも対戦してもらいました。


今回のかるたでは、読み手がまず「創英角ポップ体」というようなフォント名を読み上げ、少し時間がたってからフォントの説明、それでも対戦している2人が札を探せなければフォントのサンプルを表示してみせる、という方法を取りました。創英角ポップ体は「POPに使われる手書き文字を元にしたフォント。Officeに付属していたためPOP以外にも多用され、ダサフォントの代名詞に」と説明されています。


「ダサいフォント……ダサいフォント……」と探していき、おそるおそる札に手を伸ばすと……


「ハッピーNH」でした。やはり素人には無理なかるたなのでは……?


……と思っていると、対戦を見ていた編集部員が「これじゃない?」と指さします。


指さされた札の裏面を確認してみると、「創英角ポップ体」。予想外の才能が開花しました。


ということで、なぜかフォントかるたが得意だった編集部員にプレイヤーを変更して続行。


「毛筆で描かれた古い文字を再現した、印鑑によく用いられる書体。経年による虫食いや劣化の後があり、ホラー感がある」という「TB古印体」を読み上げたところ、2人が同時に別の札に手を伸ばしました。


同時に札を裏返してみると、一方の編集部員が正解。手元に札を置いていきます。


「明るく元気な雰囲気を持ったかな書体。構造をシンプルにし、線を途中で切ったり折ったりしたような楽しいデザイン」という「わんぱくゴシックNB」の札が読み上げられたところ、「『あ』の形がわんぱくっぽい」という謎の理由で1枚の札を選択すると……


まさかの正解。


果たして盛り上がるのだろうか?と不安を抱いていたところが、予想以上に白熱。だんだん対局っぽい雰囲気になっていきます。


また、素人では1枚も札を取れないのでは?と思っていましたが、後半はほぼ神経衰弱っぽくなっていき、どんどん手元に札がたまっていきました。


マティス EBは「骨格は明るく現代的だが、エレメントはレトロでクラシカル。『エヴァンゲリオン』で一躍有名になったフォント」など、遊びつつも知らなかったフォントにまつわる知識を深められるかるたになっていました。


ということで、フォントかるたは玄人だけでなく素人でも白熱した試合を行うことが可能で、純粋にフォントについての知識を深められるのでデザインに興味がある人は非常に楽しめそう。なお、Amazonでの価格は記事作成時点で税込2592円となっていました。

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in レビュー,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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