世界に愛と平和をもたらす熱き戦いの国際スポーツ「雪合戦」
柔道や相撲、剣道など日本発祥のスポーツはいくつもありますが、多くの人が一度は遊んだことがある雪合戦も日本が世界に誇るスポーツとなりつつあるようです。極寒の国・フィンランドでは日本の雪合戦に魅せられた人によって「Snowball Fight」または「Yukigassen」が繰り広げられています。
Did Somebody Say 'Snowball Fight'? | That's Amazing - YouTube
フィンランド北部に位置し、北極圏に含まれる街「ケミヤルヴィ」に集った選手。
専用のスーツに身を包み、ヘルメットを被って……
臨戦態勢。
バトルフィールドは一面雪に覆われた広場です。
「『Yuki』は『雪』を、『Gassen』は『戦争』を意味します」
「なので私たちは今日、ここにやってきました」
見慣れた雪合戦の風景……といいつつも、雪を固めて作られたバリケードがしつらえられた本格的なフィールド。
「Yukigassen」のロゴが入ったジャケットを着るスタッフの姿も。
子どもの遊びだった雪合戦は、1990年代頃から「スポーツ雪合戦」というスポーツへと進化し、北欧の国々やロシア、ベルギー、オランダなどのヨーロッパ諸国、アメリカ、そしてなぜかタイなどの国へも広がりを見せています。
「彼ら(日本)がプレゼントを与えてくれました。これがYukigassenです」と語るのは、フィンランドの雪合戦団体を統轄するAri Pöyliö(アリ・ポイリオ)氏。日本を訪れた際に雪合戦に触れ、その魅力にとりつかれたそうです。
「私たちが今いるケミヤルヴィは、北極圏に位置する街です」
「あまりにも北に位置しており、雪が多く降ります」
「そのため、毎日でも毎週でも雪合戦を楽しむことができます」と語ります。
ケミヤルヴィはヨーロッパでも有名な雪合戦トーナメントが開催される場所です。
日本からの選手団も訪れて戦いを繰り広げます。
争いは3対3で行われます。
ちなみに「国際ルール」では、1チームは選手7名とされており、フォワード4名とバックスに分かれます。試合は3分3セットマッチで、2セット先取した方が勝ち。また、時間内(3分以内)に相手コートのフラッグを抜くか、雪球を相手チーム全員に当てた時点で勝ち、などのルールが定められています。
国際ルール | 昭和新山国際雪合戦実行委員会 公式ウェブサイト
各チーム、1セットあたり90個の雪玉が用意され、相手にぶつけて倒すことが目標。
審判の笛の音で、フィンランドチーム対日本チームのバトルがスタート。
フィールド上の障害物を利用しながら相手に雪玉をヒットさせると、敵を倒すことができます。
そして、フラッグを奪うことも戦いの目標。
「雪合戦は非常に戦略的な戦いです」
「力が強い必要はなく、小さい体で素早く動き、上手に球を投げることが重要」
雪玉は、このような専用の器具「雪球製造器」で作られます。半球型の型を使って上下から雪をはさみ……
まるで、たこ焼きのように雪玉を作ります。
「雪玉はある程度の重さがありますが、重すぎるということはありません。そのため、固すぎることもありません」
「敵に当たった時にはうまく壊れる必要があります。例え頭に当たったとしても、ケガをすることがないようにされています」
この勝負は、フィンランドチームの勝利で幕を下ろしました。
しかしゲーム後は握手してお互いの健闘をたたえあい。
雪合戦の戦場は「分断」の場ではなく「融合」の場でもあるのです。
ポイリオ氏は「私はYukigassenを愛しています。なので、このスポーツを広め、大人や子どもにプレイして楽しんでもらいたいと思っています」と語ります。
子どものスポーツ、雪合戦も今や世界の平和を実現する「合戦」となっているようです。
ポイリオ氏が率いる団体は、北海道を拠点とする昭和新山国際雪合戦実行委員会に所属している団体です。同委員会のウェブサイトでは、公式ルールや雪玉の作り方などが詳細に掲載されているので、「我こそは」という人はチェックしてみてもよさそうです。
昭和新山国際雪合戦実行委員会 公式ウェブサイト
・関連記事
日本発祥のウインタースポーツ「雪合戦」を本気で楽しむための心得 - GIGAZINE
雪合戦用のパーフェクトな雪玉を作る方法 - GIGAZINE
誰もいないのに大勢の子どもが遊んだあとのようにドーナツ型の雪が転がる不思議な自然現象「Snow Roller」 - GIGAZINE
雪球を転がして大きくしていくゲーム「Snowball 2008」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ