高タンパク製品には「求めるような効果はない」と専門家が語る

By Henry Söderlund

イギリスでは高タンパク製品の需要が急上昇しているのですが、専門家たちは消費者が血眼になって求める高タンパク製品には「求めるような効果はない」と語っています。

Protein hype: shoppers flushing money down the toilet, say experts | Life and style | The Guardian
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2016/dec/26/protein-hype-shoppers-flushing-money-down-the-toilet-say-experts

WeetabixやShreddies、Mars、SNICKERS、Batchelors Cup A Soupといったブランドが、製品のタンパク質を増加させたバージョンをなどを売り出しており、2016年はそれらの「高タンパク製品」が流行しました。それに伴い、多くのスーパーマーケットは高タンパク製品専用の販売スペースを確保しています。

そして、世界各国のさまざまな産業やサービスに関するデータ・分析レポートを提供する国際市場調査のリーディングカンパニーであるユーロモニターによれば、2016年のスポーツタンパク製品(高タンパク製品が含まれる市場)市場は4億1300万ポンド(約590億円)まで拡大していると予想しています。しかし、専門家たちは消費者、特にジムに通う人たちなどは「高タンパク製品を売りたい企業」による狡猾なマーケティング戦略の犠牲になっていると語っています。

栄養学者であり英国栄養士会のスポークスマンも務めるアンナ・ダニエル氏は、「人々は『より多くのタンパク質を摂取しなければいけない』という誤解を抱いています。大多数にとって、適切なタンパク質の必要摂取量はとても低いんです。もしもあなたがスポーツ選手ならより多くの摂取量が必要となるわけですが、タンパク質はタマゴやヨーグルト、肉などさまざまなものから摂取できます。そして、週にジムに数回行く程度の大多数の人々にとっては、普段の食事以外の保健食などからタンパク質を補充する必要はまったくありません」とコメントしています。

By U.S. Department of Agriculture

イングランド公衆衛生サービスのガイドラインによれば、19歳から64歳までの男性のタンパク質必要摂取量は55.5g、女性は45gとしています。しかし、専門家は「この基準値は変わるだろう」とコメントしており、米国医学研究所は体重1kg当り0.8gのタンパク質を摂取すれば良いとしています。

イングランド公衆衛生サービスのガイドラインによれば、1日に摂取すべきカロリーの約11％がタンパク質であるのが理想とされているのですが、National Diet and Nutritionの調査によると実際の成人のタンパク質摂取量は摂取カロリーの17％～18％程度と「摂取しすぎ」の状態となっています。イングランド公衆衛生サービスの主任栄養学者であるアリソン・テッドストーン博士は、「大多数の人は1日の食事の中でタンパク質の推奨1日摂取量を超えています。したがって、あなたが定期的にジムに通うとしても、タンパク質を摂取するための栄養補助食品を食べる必要はないし、それによって何かしらの利益が出てくるわけでもありません」と語っています。

なお、ユーロモニターのデータによると、タンパク質の粉末やプロテインバーには最小でも20gのタンパク質が含まれているそうです。また、他の市場調査によると、2015年のプロテインバーの売上げは63％増加しており、2016年の高タンパク製品は前年比で40％も増加しています。

キングズ・カレッジ・ロンドンで栄養学の名誉教授を務めるトム・サンダース氏は「ジムでは多くの高タンパクプロテインなどが大げさに売り込まれています。乳業界などからはホエイプロテインのような無駄な製品を取り除く必要がある。ホエイプロテインのようなものは、本来は安い製品を高値で売りつけるためのものだ」とコメントしています。レディング大学で栄養学の講師を務めるダニー・コマン氏は、タンパク質を摂取することは筋肉量を増やす手助けになるとしていますが、そういった事実が人々により多くの不要なタンパク質を食べさせているとしています。

By Health Gauge

ダニエル氏は「多くの製品には多くの砂糖が入っており、それでいて食物繊維は少ないので健康的な選択肢ではない」とコメント。専門家からは、高タンパク製品を摂取することは「お金をトイレに流していることと同じぐらい無駄なこと」とバッサリ切り捨てるようなコメントも出ています。