「12歳の少女の入浴シーンを盗撮することは児童ポルノの処罰対象外」との判決が下る
アメリカで娘のシャワールームでの振る舞いを隠し撮りしたとして、児童ポルノを理由に懲役22年の判決を受けた男の上訴審で、「少女のシャワーシーンは児童ポルノ処罰規定の対象外」として下級審判決を破棄するとの判断が州最高裁判所によって下されました。「児童ポルノ」に該当するかどうかの判断は割れているようです。
Court says secretly filming nude young girls in bathroom isn’t child porn | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2016/11/court-says-secretly-filming-nude-young-girls-in-bathroom-isnt-child-porn/
問題となった事件は、被告人トーマス・ホワイテッドが12歳の自分の娘と14歳の娘の友達がシャワーを浴びている様子を隠し撮りした行為が、児童ポルノ処罰規定に該当するかどうかで争われました。高等裁判所は、ホワイテッドが2カ月にわたって自分の性的欲求を満たす目的でシャワールームを盗撮した行為は児童ポルノ法に違反するとして懲役22年の実刑判決を下しましたが、テネシー州最高裁判所は、「ホワイテッドが記録したビデオはポルノに当たらない」として、高裁判決を破棄しました。
判決が真っ二つに割れた原因は児童ポルノ法の処罰対象となる「児童ポルノ」をどう定義するかという点に起因します。アメリカのほとんどの州では児童ポルノに該当するかどうかは、「性的感情を刺激するかどうか」によって判断します。今回撮影されていたムービーには、シャワーを浴びる少女の裸体の一部が映っており、高等裁判所では「性的感情を刺激するもの」、つまり「児童ポルノに該当する」という判断が下されました。
これに対してテネシー州最高裁は、「性的感情が刺激されるかどうかという主観的であまりにも曖昧な判断は妥当ではない」と述べ、児童ポルノに該当するかどうかの判断においては、撮影者や映像を見る者がどう感じるかは問題にならないという見解を打ち出しています。そして、児童ポルノに該当するかどうかはそのムービーが伝えている内容そのものによって判断するべきだと述べています。
テネシー州最高裁は児童ポルノを「未成年者のセックスや性交類似行為や陰部が露出しているもの」と定義して、主観を排してムービーに映る内容だけを客観的に見て判断するべきだと述べた後に、「ホワイテッドが盗撮したムービーには少女の陰部が映っておらず、またセックスや性行類似行為ではない『日常生活上の行為』であるから児童ポルノに該当しない」と判断しています。
なお、テネシー州最高裁は、撮影者や映像を見る者の主観によって判断するならば、例えば、生後まもない赤ちゃんの初めてのお風呂を撮影する行為さえ児童ポルノと見なし得る、として恣意的判断がなされる不都合を訴えています。
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