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なぜドナルド・トランプは勝利し大統領になれたのかという「5つの理由」と「今後やるべき5つのこと」

By Gage Skidmore

「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」などドキュメンタリー映画の監督で知られるマイケル・ムーア氏は、第45代アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏を大統領にさせたくないと言いつつも、トランプ氏の勝利を予見していました。そのムーア氏が、投票開票の約4カ月前に書いたブログで「トランプ氏が勝利する5つの理由」を公開しており、また、開票後には「トランプが勝利した今やるべき5つのこと」というエントリーをFacebookで公開しています。

5 Reasons Why Trump Will Win | MICHAEL MOORE
http://michaelmoore.com/trumpwillwin/

ムーア氏が指摘していた「トランプ氏が勝利する5つの理由」は以下の通りです。

◆01:中西部における票
アメリカ合衆国の中西部および大西洋中部地域の一部は、かつて工業地帯として栄えていましたが、製造業者がメキシコやアメリカの他の地域へと工場を移転し、製造業が衰退してしまいました。しかし、衰退していく製造業から脱することができず、ラストベルト(さび付いた工業地帯)と呼ばれています。

By Shannon O'Toole

ムーア氏によれば、ラストベルトに含まれるミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの4州では田園地域に大工場が散在していて、労働者たちが怒りを抱きつらい思いで働いているとのこと。トランプ氏はこの4州で積極的な活動を行い、「ラストベルトの壊滅はヒラリーが北米自由貿易協定(NAFTA)を支持したから」「もしフォードが工場を閉鎖しメキシコに移転するのであれば、メキシコから輸入される自動車に35%の関税をかける(ミシガン州での演説)」などと発言しました。また、「Appleは中国ではなくミシガン州の工場でiPhoneを製造すべき」と演説し、これがラストベルトで厳しい生活を送る労働者たちの心に響いたそうです。

ムーア氏は、「イギリスがEU離脱の国民投票を行ったときと同じような状況がミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシンでも起こる」と予想していました。実際にトランプ氏は、ウィスコンシン、オハイオ、ペンシルベニアで勝利を収め、48人の選挙人を獲得しました。

◆02:怒れる白人の最後の抵抗
2016年のスーパーボウルでは、歌手のビヨンセが大勢の黒人女性と一緒に「男性の支配はこれで終わりよ!」と高々と宣言しました。ムーア氏はアメリカの白人男性が240年間続いてきた男性優位の社会から権力を失いつつあることに不満を感じていると指摘。「黒人が俺たちに8年間指示してきたのを耐えたのに、次は女の指示に従わなくちゃいけないのか?その次はゲイだろうな。そしてトランスジェンダーも忘れちゃいけないぜ。動物が大統領になる日も遠くない。クソハムスターが国を統治する日が、いずれ来るってことだ。こんなことは絶対に起こさせない!」という考えに到達して、最終的にはトランプ氏有利に働くと予想していました。

◆03:ヒラリーの問題
「イラク戦争を支持したヒラリーに二度と投票することはない」と誓っていたムーア氏は、今回の選挙における大きな問題はトランプ氏ではなくヒラリー氏にあると考えていました。ムーア氏によると、ヒラリー氏は人気が全くなく、投票者の70%が信用できない不正直な人だと考えているとのこと。ムーア氏は「ヒラリーは古い政治の代表みたいなもので、彼女が信じているのは有権者の投票権だけ。ヒラリーは同性愛者の結婚に反対していたが、その後は同性愛者の結婚式の司祭を務めた。若い女性がヒラリーに反対する最大のアンチなんだ。ミレニアル世代が『ヒラリーには投票しない!』と毎日僕に言ってくる」と話しており、ヒラリー氏が自身の手により人気を下げていると指摘していました。

◆04:無気力なサンダース支持者
ヒラリー氏との民主党の指名争いに敗れたバーニー・サンダース氏を支持していた人は、投票日に「今日は投票だ!ヒラリーに入れるぞ!」という元気はなく、「ヒラリーに投票するか……」というくらい無気力になっている、とムーア氏は指摘。こうした人々は「病んだ投票者」と呼ばれ、周囲で投票に行こうとしない家族や友人たちを「ヒラリーに投票しにいこうよ!」と誘い出すようなことはしません。ムーア氏は「ヒラリーは自分を支持するメリットを病んだ投票者に与えなければいけない」と話していました。また、ヒラリー氏が副大統領候補に女性を選ぶ可能性もありましたが、結局のところ年配の白人男性を候補に選択。この策は「無難」であり、若者の支持者が離れていく原因の1つになったそうです。

By katie hargrave

◆05:ジェシー・ベンチュラ効果
ジェシー・ベンチュラ氏はかつてWWEに所属したプロレスラーで、1990年にミネソタ州ブルックリンパークの市長選に立候補し当選、1995年まで市長を務めました。1998年にはミネソタ州の知事選に立候補して当選。ムーア氏は、「ミネソタ州の人がベンチュラに投票したのは、ミネソタ州の人の頭が悪いわけではなく、ただ単に荒廃した政治体制に対するブラックユーモアみたいな理由です。これと全く同じことがトランプに起こるでしょう」と話していました。

ムーア氏の予想通りにトランプ氏は大統領選挙で勝利。トランプ氏が大統領になることに心底反対していたムーア氏は、トランプ氏の勝利後に「トランプが勝利した今、我々がやるべき5つのこと」というエントリーをFacebookで公開。20万人以上がシェアしています。

Morning After To-Do List:
1. Take over the Democratic Party and return it to the people. They have failed us miserably....

Michael Mooreさんの投稿 2016年11月9日


◆01:民主党を人々の手へ
民主党を乗っ取り人々に返還しよう。民主党は僕たちの期待を無残なほどに裏切った。

◆02:現実を見てこなかった専門家をクビに
自分が考えたストーリーだけを見て、実際に何が起こっているかを見てこなかった専門家や世論調査員、メディア従事者をクビにすべき。こういった人たちが「私たちは分断をなくすべき、1つになってがんばろう」とか僕たちに言ってくるし、これからもこいつらは同じことをケツの穴から言い続けるだろう。ヤツらを黙らせるんだ。

◆03:民主党の国会議員
トランプが勝利した次の朝に、「オバマ大統領を何とかして引きずり下ろそう」と8年間戦いを続けてきた共和党議員のような「抵抗する気持ち」で起きなかった民主党の国会議員は辞めてしまえ。

◆04:結果に嘆くのはもう終わり
「ショックを受けた」などと嘆くのはやめるべき。その言葉の奥にあるのは、自分が世間知らずで、他のアメリカ人や彼らの絶望を気に掛けていないということだ。民主党や共和党に無視され続けてきた人たちの政治システムに対する怒りや要求は大きくなるばかり。「民主党と共和党の両方を破壊する」「お前らはクビだ」なんて話していたトランプが勝利したことに何の不思議もない。トランプはジョークではなかった。トランプを特別な存在として扱うことは、彼を強くしただけ。トランプはメディアが作り上げた怪物なんだ。

◆05:「ヒラリー・クリントンは得票数で勝った!」と声を上げよう
今日会う全ての人々に「ヒラリー・クリントンは得票数で勝った!」と言おう。過半数のアメリカ人はドナルド・トランプではなくヒラリー・クリントンを選んだ。それが事実だ。今朝「くそったれ」と思いながら目を覚ました人がいるとすれば、それは間違いだ。トランプが大統領になれたたった1つの理由は、18世紀に作られた選挙人団という難解でばかばかしいシステムのおかげ。このシステムを変えない限り、投票で選ばれなかった「求められていない人」の当選が続くだろう。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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