1883年のクラカタウ大噴火は人類の歴史に残る最大の爆発音だった

By Din Muhammad Sumon

インドネシアにある火山島「クラカタウ」で1883年に発生した大噴火は、人類が記録してきた中でも最大の大噴火だったことが記録されています。全世界で残されている気象データからは、なんとその爆発音は5日間にわたって地球を4周したことがわかっています。

The Krakatoa Volcanic Eruption Was So Loud it Was Heard Round the World
http://nautil.us/issue/38/noise/the-sound-so-loud-that-it-circled-the-earth-four-times

クラカタウは、インドネシア・ジャカルタから西に150kmほど離れた海の上に位置しています。


クラカタウは複数が集まった火山島の総称で、現在は主な4つの島で構成されています。過去にはいくつかの島がつながっていましたが 、何度も繰り返されてきた大噴火によってカルデラが形成され、大部分が失われて現在のような状態になっているとのこと。


現在も噴煙を上げるクラカタウの姿。古くから歴史に名前が残されている火山島でもあり、1771年と1777年にはイギリスの海洋探検家であるキャプテン・クックも島を訪れていたことが記録されています。

By flydime

そんなクラカタウが「史上最大の噴火」を起こしたのは、1883年8月27日のこと。現地時間の午前10時2分、クラカタウは大爆発を起こしました。そのごう音はとてつもないもので、北西に約2100km離れたインドのアンダマン諸島で「ものすごい音が聞こえ、まるで銃を発射したようだった」という住民の記録が残っているほか、東に3200km離れたパプアニューギニアでの「北西の方角から大砲のような複数の音が聞こえた」という記録や、4800km離れてもはやアフリカに近いロドリゲス島でも「東の方角から銃砲のような遠鳴りが聞こえた」という記録が残されているほどでした。全ての記録を総合すると、クラカタウの爆発音は世界中の50か所で聞こえたことが記録されており、その範囲は全地球の13%にも及ぶとのこと。

地図に示してみると、実際に爆発音が聞こえたエリアは以下のとおり。これを日本で例えてみると、北海道で出た音が沖縄をはるかに超え、台湾や香港を超えてベトナムあたりまで余裕でとどろくということで、極めて大量のエネルギーが放出されたことが想像できるはず。


実際に爆発の威力はすさまじく、当時は大きかったクラカタウの火山島の大部分が吹き飛んでしまうほどの大爆発でした。爆発は1883年5月から散発的に発生したことが記録に残っており、5月20日に最初の爆発が発生。その後も地震を繰り返しながら噴火が続き、8月11日には3つの火山で噴火が起こり、ついに8月27日、世紀の大噴火が起こったとのこと。噴煙は高度2万7000メートル付近まで到達し、噴石は音速の2倍の速度で火口から放出されたと考えられています。


この大噴火により高さ30メートルという巨大津波が発生し、周辺の島々に位置していた165の村が完全に消滅。死者の数は3万6417人とみられていますが、合計すると12万人にも達するという調査結果も存在しているとのこと。噴火時に島から約64kmの海上にいたイギリスの戦艦「ノーマン・キャッスル」にもそのごう音は届いており、艦長は航海日誌に「乗組員の半数が耳の鼓膜が破れるダメージを負った。私は妻のことを思った。ついに審判の日がおとずれたと思った」と記しています。

この噴火により生じた衝撃波が、気圧観測データとして残されています。ジャカルタ市内のガスタンクに取り付けられていた水銀気圧計では、気圧の上昇により水銀の目盛りが約6.4cm上昇したことが記録されています。これを音圧の単位に置き換えると、その数値は172デシベルというとてつもないものになります。この数値がどれほど飛び抜けているのかを示すために一例を示すと、岩を砕く掘削機の騒音が100デシベルといわれており、人間が苦痛と感じ出す騒音が130デシベル。フルスロットル状態のジェット機のエンジンの真横だと150デシベルというもので、これはとてもまともに耐えることができないものですが、噴火で生じた衝撃波はそれらをはるかに上回るものとなっていたことが記録されています。

火山の噴火で生じる衝撃波の様子を捉えた有名な動画がコレ。噴煙と同時に、白い雲のようなものが周囲に拡散する様子が収められていますが、これが爆発によって生じた衝撃波の動き。さらに、噴火から数秒後に爆音が到達した様子も収められていますが、これがすなわち衝撃波が到達したタイミングです。

Volcano Eruption in Papua New Guinea - YouTube


噴火による爆風は、衝撃波として地球全体に広がりました。当時すでに欧米を中心に気象観測が行われており、噴火から6時間47分後にはインドのコルカタ(カルカッタ)で気圧の上昇が観測されています。その後も、8時間後にはモーリシャス諸島やメルボルン、シドニーで観測され、12時間後にはセント・ピーターズバーグやウィーン、ローマ、パリ、ベルリンなどでも気圧が上昇。18時間後にはニューヨークやワシントンDCに到達し、その後も34時間ごとに各地域で気圧の上昇が観測されたとのこと。これは、音の速さで衝撃波が地球上を駆け巡ったことを示しています。最終的に観測された気圧上昇は、それぞれの地域で3回から4回だったとのこと。中には7回も現象が確認された場所もあったそうです。

なお、この大噴火をめぐるノンフィクション作品も発表されています。ジャーナリストのサイモン・ウィンチェスター氏による著書「クラカトアの大噴火」では、噴火による直接の被害だけでなく、政治や経済の変化、科学の発達などの転機にもなったクラカトア島の大爆発が当時の政治情勢や科学などとあわせて描かれています。

クラカトアの大噴火 | サイモン・ウィンチェスター, 柴田 裕之 | 本 | Amazon.co.jp

クラカトア火山・・ジャワ島とスマトラ島の間に位置したこの火山は、1883年8月27日、史上最大規模の大爆発を起こし、世界に甚大な被害を与えた。30メートルもの高さの津波により、のべ36000人以上が死亡し、多くの船が転覆、沈没、崩壊した。
(中略)
クラカトア爆発は植民地時代に発達した海底ケーブルを使った電信技術によって、初めて世界的に伝えられる自然災害となった。それにより、世界中の人々は身近に起こっている異常気象などの原因を知ることとなった。
また、火山爆発が引き起こした長期的な天候不良と農作物の不作は、オランダ人の支配への不満を引き起こし、イスラム原理主義的な地元民の蜂起が各地で起こり、植民地体制をゆるがした。
クラカトアが引き起こした空気中の粉塵は、ヨーロッパの夕焼けをも七色に変えた。多くの芸術家たちはこの空に感化され、色鮮やかな多くの作品を残している。

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