動画

地球内部のマグマを一気に噴出する危険性をはらむ火山「スーパーボルケーノ」が噴火すると一体地球はどうなってしまうのか?


地下深くにあるマグマが爆発して地上に噴き出る超巨大噴火「破局噴火」が起こってしまうと、地上に壊滅的な被害をもたらし、気候を大きく変動させる危険性が指摘されています。このような噴火をする火山を「スーパーボルケーノ」と呼びますが、実際にこれが噴火してしまったらどうなるのか、科学的コンテンツをアニメーションで紹介するYouTubeチャンネル「Kurzgesagt」が解説しています。

What Happens if a Supervolcano Blows Up? - YouTube


スーパーボルケーノの噴火は地球上に現存するすべての核兵器を合わせたよりも数十倍強力な噴火を起こし、有害な灰とガスを地上に降らせ、気候に1年間で数世紀分の変化をもたらすとされています。

そもそもあらゆる噴火の発生原因は2つで、1つは地震の発生源としてよく知られているプレート境界にあります。地球には7つの主要なプレートと数十個におよぶ細かなプレートがあり、年間最大15cmの速さで動いています。


これらのプレートの境界では、片方のプレートがもう片方のプレートの下に沈み込むように動きます。この際、プレートを構成する岩石や水が非常に高温である地下で化学変化を起こし、マグマへと変化します。そうして生まれたマグマが蓄積し、十分な量がたまると地上に噴出します。


もう1つの原因と考えられているのが「マントルプリューム」です。マントルプリュームは地球のコアからマントルの境界、地表まで連なっている異常に熱い岩石の柱だと考えられています。あくまで仮説ですが、マントルは地球内部で対流のような運動をしており、その一部が噴き出すことがあるということだそうです。


一口に噴火といってもその規模は大小さまざまで、地質学者は火山の爆発規模を「火山爆発指数(VEI)」という指標で測っています。VEIは0~8に区分されます。


VEI=2の噴火では、2500立方メートルのプール400面がすべて満たされる量の溶岩が噴出するとのこと。区分の中では比較的小規模の方ですが、2021年に発生し、数十人の犠牲者を出したジャワ島のスメル山噴火などもこれに相当するとのこと。VEI=2の噴火は年間10件ほど発生しているそうです。


2022年にトンガで発生し、遠く離れた日本にも噴火が原因とされる津波が到達したフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山噴火はVEI=5と推定されています。VEI=6になると影響はより大きくなり、1883年にインドネシアで起きたクラカタウの噴火では舞い上がった灰により地球の気温が0.5℃近く低下し、地球の反対側まで聞こえるような「史上最も大きな音」が発生したとされています。VEI=7の例は1815年のタンボラ山噴火などが挙げられ、この噴火では地球の反対側にまで寒冷化の影響が及び、数十万人が飢饉(ききん)で餓死したとされています。


最も規模の大きいVEI=8の噴火は直近でも数万年にさかのぼるほどめったに発生しないものです。約2万6500年前にニュージーランドで発生したオルアヌイ噴火では、エベレストに相当するサイズの爆薬を爆発させたような超大規模の噴火が起こり、やはり地球に寒冷化をもたらしたとされています。7万4000年前のトバ湖の噴火では地球の気温が4度も低下し、何世紀にもわたって干ばつをもたらしたとさえ考えられるそうです。


約2億5000万年前に発生したシベリア・トラップ近辺の火山活動では、数百万立方キロメートルにわたり溶岩が噴出し、活動は200万年間継続したと考えられています。この影響で地球の生物種の90%以上が絶滅し、回復には900万年ほどかかったと推定されています。


Kurzgesagtは「私たちは何百万年もの間、破局噴火に近い規模の噴火さえ見たことがありません。スーパーボルケーノは避けられない黙示録をもたらすものとして宣伝されていますが、怖がる必要はありません。それよりも、より規模の小さな噴火を早期に対策するため地中の変化を監視したり、噴火により起こる気候変動を解決したりすることが大切です」と締めくくりました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
世界の終末を引き起こす可能性がある「スーパーボルケーノ」を掘削して冷却し地球を救うというNASAの計画 - GIGAZINE

トンガの火山噴火はどれだけ大きかったのか?爆発の規模を世界各国に重ねるとこんな感じ - GIGAZINE

現代文明が滅亡するリスクはどのくらいあるのか? - GIGAZINE

もし核戦争で自滅しなければ人類はどんな未来を迎えるのか? - GIGAZINE

in サイエンス,   動画, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.