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マヤ文明の手がかりになる第4の絵文書「グロリア・コデックス」が偽物から一転して本物へ


マヤ文明はメキシコ南東部やグアテマラ、ベリーズで紀元前3000年から16世紀頃までの間に栄えた文明です。マヤ文明を知る手がかりとしては、遺跡や巨大構造物があるのですが、その他にもコデックスと呼ばれる絵文書が残されています。マヤのコデックスの1つであるグロリア・コデックスは一度は偽物であるという説があったのですが、大学の研究チームにより「おそらく本物」であるという調査報告が発表されました。

13th century Maya codex, long shrouded in controversy, proves genuine | EurekAlert! Science News
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-09/bu-1cm090716.php

Once dismissed as fake, Maya calendar is Americas’ oldest manuscript say Brown University scientists - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/morning-mix/wp/2016/09/08/once-dismissed-as-fake-maya-calendar-is-americas-oldest-manuscript-say-brown-university-scientists/

Grolier Codex « Trafficking Culture
http://traffickingculture.org/encyclopedia/case-studies/grolier-codex/

マヤ文明が残したコデックスはドレスデン・コデックス、マドリー・コデックス、パリ・コデックスという3つがありますが、それに続く第4のコデックスとして1971年に発表されたのがグロリア・コデックスです。

By Travis

グロリア・コデックスはメキシコ人収集家のジョズエ・サンツ氏が1966年に購入して入手したとされる絵文書。サンツ氏によれば、ある人物から「その気があれば、最近発掘されたマヤ文明のお宝を見せてやろう」という話が持ちかけられ、指定された場所に行くと、洞窟で発見されたというマヤ文明の出土品を見せられ、その中に見たことがない第4のコデックスが含まれていたとのことです。購入前に真贋調査を希望したサンツ氏は、コデックスが本物であるかどうか確かめるべくメキシコ・シティに戻って専門家に調査を依頼しましたが、結果は偽物。しかし、サンツ氏は偽物という調査結果にもかかわらず、コデックスの購入に踏み切ります。

サンツ氏が第4のコデックスを入手したことを聞きつけたマヤ文明研究の第一人者であるマイケル・コー博士は、メキシコに飛んでサンツ氏から当時開催予定であった展示会「グロリアクラブ」での展示許可をもらいます。こうして1971年に開催されたグロリアクラブで第4のコデックスが発表され、このコデックスはグロリアクラブから名前をとってグロリア・コデックスと名付けられました。


マヤ文明の詳細を知る新しい手がかりとして注目を集めたグロリア・コデックスですが、発表後にトンプソン版ドレスデン・コデックスをまとめたエリック・トンプソン氏により不完全な内容や偽造された痕跡などの要素から「偽造されたもの」と評価されてしまいます。それから偽物かどうかの論争が繰り広げられたものの、本物か偽物かの決定的証拠が提出されないまま、グロリア・コデックスはサンツ氏によりメキシコ政府に寄付されてしまいました。

こうした経緯からグロリア・コデックスは本物なのか偽物なのか不明だったのですが、マイケル・コー博士の率いる研究チームが、グロリア・コデックスの信憑性に関する証拠の分析調査をまとめたレポートを発表。レポートでは「グロリア・コデックスはおそらく本物である」と結論づけられています。グロリア・コデックスにはサンツ氏が購入する2年前の1964年時点で考古学者に知られていなかった事象が記載されていたり、1980年代に調合の方法が判明したマヤのインクが使われていたりなど、本物であると裏付ける証拠が多数見つかったそうです。

By Daniel Mennerich

また、現代の道具が使われたように見える跡は、マヤ文明でコデックスの表面加工に使用されていた石膏プラスターのひび割れであることがわかるなど、これまでグロリア・コデックスが偽物と判断されていた要素についても調査が行われ、その上で「おそらく本物である」という判断がくだされています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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