取材

GeForce GTX 1080などVR対応をさらに進めたPascal世代のグラフィック技術に関するNVIDIA説明会に行ってきました


Pascalアーキテクチャ採用の新型グラフィックボード「GeForce GTX 1080」を発表したNVIDIAが、東京でプレス向けにPascalアーキテクチャのGPU技術に関する説明会を行いました。そこでは、VR対応したPascal世代で大幅に進化したグラフィック技術をまざまざと見せつけています。

GTX 1080 グラフィックスカード | GeForce
https://images.nvidia.com/graphics-cards/geforce/pascal/jp/

プレスブリーフィングが行われた赤坂ガーデンシティに到着。


会場はこんな感じ。


机にはお土産。


10XX世代のGPUということで、「10」が刻まれた「おまんじゅう」でした。


解説するのはNVIDIAのテクニカルマーケティング・ディレクターのNick Stam(ニック・スタム)氏。


今日のテーマは大きく分けて4つ。ゲームキャプチャの「ART FORM」、よりリアリティのあるVRを実現する「サウンド」、「新しい王」ことGTX 1080、そして効率的な高速レンダリングを実現する「新技術」


まずは、新しいゲームキャプチャ機能から。ゲームの世界のキャプチャ(スクリーンショット)を楽しむファンが増えています。


GPU性能の向上にともなって、ゲームキャプチャはもはやアートというレベルに到達しています。


完璧なスクリーンショットを撮る為に生まれたのがゲームキャプチャツール「Ansel(アンセル)


Anselでは、ゲームの「時」を止めた上で、自分の好きな位置から自由にスクリーンショットを撮ることが可能。


敵との戦いの瞬間を、さまざまな角度から、さまざまな視点でキャプチャすることができます。


さらにAnselはさまざまなエフェクト機能を搭載。


昼のシーンを夕暮れに変化させるなどの、映像処理を簡単に行えます。


Anselでキャプチャできる解像度は驚異の4.5ギガピクセル(45億画素)


シーンの一部を拡大して切り出すことも可能です。


Anselでは3600枚のタイル状の画像をつなぎ合わせることで45億画素の超高解像度を実現しています。これにより、印刷レベルのクオリティを実現しているとのこと。


これは、38メートル×9メートルで切り出したスクリーンショット。画素密度は100dpi、45億画素のファイルサイズは1.5GBとのこと。


高速な画像のつなぎ合わせにはCUDAの技術が使われています。破綻のないシームレスなつなぎ合わせが可能です。


使えるエフェクト機能も多数。


360度フォトを作ることも可能。撮影した360度パノラマ画像は、専用のビューワーのNVIDIA VR Viewerだけでなく、GoogleのCardboardやSamsungのGear VRなどで楽しむこともできます。


ということでAnselのデモがスタート。


ある瞬間で時を止めて……


場所を移動したり、まるでドローンのように上空へ舞い上がって俯瞰した絵を撮ることも可能。


ズームイン/アウトやロールなども簡単にでき、数々あるエフェクトで自分好みの写真を撮ることができます。


AncelはPascalアーキテクチャだけのものではなく、GTX 600シリーズ以上のNVIDIAグラフィックボードで利用できます。


対応ゲームも続々登場の予定。


ゲームキャプチャがますます楽しくなりそうです。


次のテーマはよりリアリティのあるVRを生み出すための要素。リアリティあるVRのためには高画質な映像だけでなく、臨場感のあるサウンド、触覚、物理法則に則った動きなど、五感に訴えることが必要です。


中でもオーディオは重要。


よりリアルなサウンドを実現するべく開発されたのが「NVIDIA VRWorks Audio」。従来のVRコンテンツでは、音源からの直接的な音を再現するのみでした。


しかし、現実世界では音は反射したり、回り込んだり、吸収されたりします。VRWorks Audioによって、これらの音の性質をシミュレーションで正確に再現するとのこと。


また、液体の動きや破壊、爆発、髪の動きや衣類のはためき方など、細かな描画での物理的な挙動をシミュレーションによって正確に再現することで、高いリアリティが得られます。


VRWorksはモジュールとして開発者に提供されます。


VRWorksをフル活用したゲームコンテンツ「VR Funhouse」のデモがスタート。


飛び交う水風船を剣で切り裂くゲーム。風船の割れ方や中から飛び散る液体などは、映像・音だけでなく、振動を利用した触覚としても表現されています。


VR FunhouseはSteam VRで無料で近日中に公開される予定。


VRWorksを取り入れる企業は2015年11月時点で600社あり、記事作成時点ではさらに数百社の上積みがあるとのこと。


3つめのテーマはお待ちかねの新グラフィックボード「GeForce GTX 1080」


GTX 1080を手にするニック氏。


Pascalアーキテクチャによって、さまざまな技術的進歩が図られています。


なんと、プロユースのハイエンドモデルTITAN Xを超える性能。


GTX 1080はまさしく頂点に君臨する「新しい王」。ニック氏によると、GTX 1080はざっくり言うとTITAN Xより25%、GTX 980より70%も高速だとのこと。


ゲーム「Paragon」のデモ。


質感はこんな感じ。


これはプリレンダリングではなく、リアルタイムレンダリングした映像とのこと。


「Pascal世代のクオリティを、開発者もユーザーも感じられるはず」とニック氏。


GTX 1080は8GBのGDDR5Xメモリを搭載。従来のレファレンスモデルは「Founders Edition」に名前を変えています。2016年5月27日にFounders Editionが発売され、その後2、3週間後にサードパーティからオリジナルモデルが登場する予定だとのこと。


ミドルレンジモデルのGTX 1070はGTX 1080に少し遅れて2016年6月10日発売されます。


GTX 1080/1070ともにNVIDIA純正のFounders Editionから発売されますが、従来とは異なり、GTX 1080/1070シリーズが市場に出回る限り、Founders Editionも発売され続けるとのこと。


フルメタルの外観で、33dBAという静音仕様。


ケース内のヒートシンクはこんな感じ。


続いてPascalアーキテクチャの説明。


16nm FinFETプロセスで製造されるGP104は、72億個のトランジスタを搭載。Maxwell世代に比べてベースクロックが1.61GHz(ブースト時1.73GHz)と大幅に向上。256bitのGDDR5Xメモリは転送速度が10Gbpsに到達しています。


「Crafted(職人技)」と呼ばれる細かな最適化の積み上げによって、サーキットパスは1733MHz以上に高めることに成功したとのこと。


GDDR5XはMicronとの共同開発。GDDR5に比べて1.7倍の帯域幅を誇ります。


2種類のメモリ圧縮技術も追加。圧縮率が高くなるほど帯域が有効に使えるとのこと。


圧縮の比較。


左がMaxwellで右がPascal。紫色の部分が圧縮可能な範囲を示しています。


主要ゲームではPascalの方が帯域をセーブできるとのこと。


DRAMの帯域幅が1.4倍、圧縮効果が1.2倍で、1.4×1.2=1.7倍効率化を果たしています。


ジオメトリエンジンでは「Simultaeous Multi-Projection(SMP:同時マルチプロジェクション)」機能が追加されました。


立体を2Dに描画する場合を考えます。


正面からのアングルでは立体物はこのように平面上に投射されるはず。


より広い範囲を見るために、マルチディスプレイを構成した場合……


一つの長いビューポートをセンターからの視点にすると、両サイドが間延びしておかしなことに。


SMPではビューポイントを増やして対応します。


さらに、VRの場合は2眼で2つのビューポイント。


間に入るレンズの歪みも考慮しなければいけません。


また、本来、視界に入らないはずの周辺映像を描画するという不都合もあり。


そこで、レンズを曲げるようにして、周辺の不要な描画をレンダリングしないよう変更されています。


より自然な視野を、より効率的に実現できたとのこと。


さらに、2眼の描画を独立して2回分行うのではなく、シングルパスで無駄を省いています。


SMPのデモ。SMPオフでは60FPS程度のVR映像は……


SMPオンで90FPSに。


2Dでは快適な60FPSですが、VRでは足りず、90FPS程度必要だとのこと。VRコンテンツにSMPは大きな威力を発揮しそうです。


Async Computeについて。


上がMaxwellで下がPascal。


従来は、グラフィックとそれ以外が静的に分けられており、グラフィック(黄緑色)が先に処理を終えてもアイドル状態で待機するという必要がありました。


それに対してPascalではグラフィックが先に処理を終えた場合、コンピュートの処理に回すことで、全体の処理速度が高まっているとのこと。


優先度の高いタスクが来たら割り込みOKな機能「Preemption」も改善されています。描画スレッドの切り替えで、Maxwellがコマンド単位で行えなかったのに対して、Pascalではピクセル単位で行えるようになっています。


アーキテクチャ、プロセスの改良で、GTX 980比で、GTX 1080はゲーム性のは1.7倍、VR性能は2.7倍を実現しているとのこと。


HDRへの対応も進んでいます。


PCのゲームをNVIDIA SHIELDでストリーミング(リモートプレイ)できるGameStremeもHDRに対応しています。


HDR対応ゲームはますます増える見込み。


MaxwellのGPU Boost 2.0では電圧にかかわらずクロック引き上げ率は一定でした。


PascalのGPU Boost 3.0では電圧ごとに最大クロックをコントロール。各電圧で理論値に近づいているとのこと。


と、いうわけで、何から何まで性能アップが図られたGTX 1080や強力なキャプチャツール「Ansel」やVRのリアリティを高める技術など、内容てんこ盛りのプレス向け説明会でした。


◆2016/05/27 18:25 追記
GTX 1080の店頭想定売価が税別9万2500円前後であると判明しました。

GV-N1080D5X-8GD-B:GIGABYTE NVIDIA GEFORCE GTX 1080 搭載 グラフィックボード | CFD販売株式会社 CFD Sales INC.
http://www.cfd.co.jp/product/graphics_bord/nvidia-graphics/gv-n1080d5x-8gd-b/release/


玄人志向 | GF-GTX1080-E8GB/FE:NVIDIA GEFORCE GTX 1080搭載 PCI-Express グラフィックボード
http://www.kuroutoshikou.com/product/graphics_bord/nvidia/gf-gtx1080-e8gb_fe/release/

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in 取材,   ソフトウェア,   ハードウェア,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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